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内容説明
太平洋戦争はなぜ起きたのか? インテリジェンス研究の権威のデビュー作『イギリスの情報外交』が1万字超の加筆を施し改題復刊
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
フク
14
連合王国の情報収集・分析・活用の流れを感じる。〈英外務省はそれほど部局にこだわらず、広く情報を共有することによって、多角的に分析された情報を政策立案の源泉として利用していたのであった。〉自分の職場を見返すだけでも嘆息。2019/09/24
横浜中華街2024
13
筆者が京都大学に提出した博士号論文を加筆修正したもの。第二次世界大戦に至るプロセスにおいて英国の対日情報戦を詳細に分析したもの。インテリジェンスが日本の情勢を測り米国を引き込むことに貢献したことが伺える。「太平洋戦争に至る道のりは、・・日米の非妥協的態度とイギリスの無策、というようなイメージよりも、英米の計算された対日強硬的態度と日本の情勢判断の失敗、といった側面が浮かび上がってくる。言い換えれば、日本は戦争を始める前からインテリジェンスの分野で劣勢であり、状況を有利に導く力を失っていたと言える。」2021/06/17
CTC
12
19年ハヤカワ文庫NF、単行本は04年PHP研究所。著者は日大危機管理学部教授、近著に中公新書『日本インテリジェンス史』がある(これは良書)。 本書単行本時のタイトルは『イギリスの情報外交』…本書は40〜41年の英国対日インテリジェンスがどのように外交戦略に活用されたかをみるものなので、現タイトルは羊頭狗肉感が強い。改題の必要は商売上の都合だとみて間違い無いだろう。著者は文庫化に際し04年以降の公開資料も反映させ、更に詳細注釈と出典明記によって本書の価値を高めた筈なのに、本書自体も陳腐に見えてしまう。2023/03/25
てら
7
博士論文の改稿ということですが、驚くほど読みやすかったです。イギリスの1941年という、一つ間違えれば亡国となる時季の「インテリジェンス」(単に諜報という意味ではない)を扱う。「日本はアメリカに追い込まれて開戦せざるを得なかった」「英米の謀略にはめられた」というような妄言がまさに寝言であるということが非常に簡潔に証明されている。歴史は「偶然」の積み重なりであり、それがたまたまうまくいったりひどい失敗になったりするだけである。2019/11/01
hayatama
6
軽い気持ちでポチった本やったけど、けっこうマジな学術書やった。(読むのに時間かかった。)太平洋戦争開戦前の英日関係を諜報という観点から読み解く本。だよなぁ、と思ったのが、イギリスが、対独戦にアメリカを巻き込むという視点で日英関係を見つめていたところ。謀略好きのきらいはあるけど、イギリス外交の面目躍如といったところ(何回も大混乱してるけど。)いやはや、新しい観点を発見できる良書でした。ただ、読むにはそれなりの覚悟が必要なマジメな本。2019/10/24