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内容説明
ヒトラーはいまも生きている!
アドルフ・ヒトラー。20世紀最恐と言っていい暴君ですが、一方で彼が当時最も民主的な国家といわれた「ワイマール共和国」から生まれた事実を忘れてはいけません。
なぜ人びとは、この男を支持したのか。
悲劇は、止めることができなかったのか。
戦争中、ナチスに処刑されたユダヤ人はおよそ570万人と推計されています。現代に生きる我々は、ホロコースト(大量虐殺)を知っており、どんなことがあってもこの男を許してはならない。ただ、歴史には必ず教訓がある。その汚点から眼を背けているばかりでは、現代のポピュリズムや排外主義を正しく恐れることができません。
ヒトラーについて書かれた本は無数にあります。いまも世界中で専門的な研究が進められている。しかし、難しい専門書を読みこなすのには手間も時間もかかります。ヒトラーについて手軽に読める入門書のような本があれば便利だ。そんな考えのもと、筆者が構想したのが本書です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hk
23
正しくナチスを恐れるための入門書という位置付けだが、予備知識は相当に高いものが必要だ。例えば「WW1においてドイツは終始国境外で戦闘を行っていたため工場は無傷のまま終戦を迎える。だから戦後にアメリカから投資が殺到する余地があった」といった説明は皆無だ。こうした基本知識をあらかじめ知っておかなければ、「わかったつもり」で本読み時間浪費くんになってしまうこと請け合い。入門書の看板に偽りありだ。 正しく基本知識を押さえてから本書を読んで、ナチスを正しく恐れましょう。2020/02/06
糜竺(びじく)
22
計算高く、したたかで、冷酷で、人間の愚かさを知り尽くしており、とんでもない人間だと思った。2021/07/18
ちゃま坊
20
1929年、ドイツは第一次世界大戦の賠償金と大恐慌で苦しんでいた。それは資本主義の失敗なのだと共産党は言う。一方ヒトラーは「大恐慌はヴェルサイユ条約とユダヤ人のせいだ」とする。この時期ドイツ国民は迷っていた。「ベルリンは晴れているか」の主人公一家は共産党を選んだが、その仲間からナチス党に鞍替えする者がしだいに増えてくる。後で思えばヒトラーもスターリンも悪魔だったが、あの時のヒトラーは救世主だった。著者はヒトラーとトランプを重ねて警鐘を鳴らしているが、はたして次の選挙はどうなるか。2020/08/28
Mc6ρ助
10
ナチのなしたことがヒトラーにその責があるとするならば、同時代の日本人のなしたことの責任は誰に行き着くのだろう?今日の日本の混乱の責任は電通やパソナあたりらしいけどね。『ヒトラーの独裁を支えたものは、巧妙な宣伝でした。オリンピックまでも、ナチスのプロパガンダに使いました。(p204)』2020/07/19
武井 康則
10
第一次大戦で疲弊した国々が敗戦国ドイツを食い物にする。ヴェルサイユ条約で過酷な賠償金を課せられ、領土を奪われ軍備は縮小。ハイパーインフレで生活を破壊されたドイツ国民が何を考えたか。そこに現れた男に何を期待し、周辺国はどんな思惑を持ったか。ナチス、ヒトラーが打った政策、周辺国の対応と政策、思惑。そんな時代の状況と政策から見るとナチス、ヒトラーの行動が狂気と断罪するだけでは語れなくなってくる。第一次大戦後から第二次大戦に至るヨーロッパの思想と動きが明確に見えてくる。それは現代とあまりに似ている。2019/09/10