内容説明
何度だって、飛んで行くよ。笑わないで聞いて欲しい。これは、“絶対に約束を破れない”体質になった男の、一生に一度の恋の話だ。全てを賭けて臨んだオーディションに落ち、女優になる夢を諦めようとする国木アオ。自室で失意に暮れる中、突如地震が発生、目の前に一人の男――幼馴染の森久太郎が現れた。聞けば久太郎は、約束を果たす時が来ると、その場に瞬間移動する体質になってしまったと言う！ 極上の感動を約束する傑作恋愛小説。
目次
ヒーローは約束を破らない
アルピニストの幻想
明日へつづく約束
駄菓子屋の子供たち
途切れた約束
夏休みからの手紙
たった一つの約束
エピローグ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんたろー
159
女優の卵・アオは挫折だらけで夢を諦めかけた時、小学生時に夏休みだけ一緒に過ごした友人・久太郎が突然現れ「一人じゃ耐えきれない時が来たら駆け付ける」と約束した事を果たしに来たと言う。彼は約束を守る為に瞬間移動する体質だった。漫画みたいな設定と思いつつ、これはこれで新しいとも思え、ファンタジー＆ラブにのめり込んだ。同業界ゆえアオの心情は手に取るように判るし、久太郎の切ない事情と真っ直ぐなキャラが好感。挿入される話も目頭が熱くなり、途中からハラハラしながら夢中で二人を応援しつつ「約束」の素晴らしさを噛み締めた。2021/03/22
のんき
93
どんな小さな約束でも、どんなくだらない約束でも、その約束を守り続ける、絶対約束を破れない体質を持つ久太郎。久太郎の言葉が胸をうちます。「人は一人じゃ生きていけない。だから、約束が必要なんだ。たった一人で涙をこらえる日もある。大切な人と離れ離れにならないといけないときもある。世界から無視されているような孤独を感じる夜もある。そんなときに、誰かの代わりに傍にいてくれるのが約束なんだ。約束ってさ、誰かと繋がっていたいという気持ちなんだ」久太郎とアオの愛に、ピンチの久太郎に約束を果たしにくるみんなに涙しました2020/06/27
papako
71
前情報無しに読んだら、びっくりした。タイトルまんまのお話だったんですね。小学生のひとつの夏休みを一緒に過ごした2人。淡い初恋と子供らしい甘い約束。その場限りの約束のはずだったのに！まさかの再会。そして悲劇。『約束ってさ、誰かと繋がっていたいっていう気持ちなんだ』そんな大変な体質なのに、前向きな久太郎が素敵。約束が途絶えるなんて！と思ったら、悲劇だし。でも約束に振り回された2人に約束が幸せを運んでくれた。ラストはそう解釈していいんですよね。うん、楽しかった。2021/05/18
おかむー
64
初読み作家さんだと思ってたら略歴を見て既読作品があったことに気が付く。その作品もいい感触だったので波長が合う作家さんなんでしょうね。『よくできました』。いつどこにいても誰かとの約束の場所にテレポートする体質の主人公・久太郎とヒロイン・アオとの幼い頃の約束が軸になるが、前半でヒロインとの章と交互に描かれる他の約束の章二篇がそれぞれ短編としても充分なだけのしっかりした内容になっていることで全体の厚みにも繋がって効果的。叶えてきた数々の約束が終盤で意味を持つ伏線に畳みかけられるカタルシルスが心地よいのだ。2019/08/25
えりこんぐ
60
売れない女優・アオの前に突然現れたのは、遠い夏休みにいじめっ子から助けてくれた久太郎だった。『絶対に約束を破れない体質』というファンタジー設定もすんなり受け入れられて、うまくできてるな〜と感心。また明日、って約束を繋ぐ事でしか会えない。途中のまさかの展開では息を呑み、涙が出る素敵な結末だった。約束はやっぱり希望✨✨ 瀬那さん、またまた良かったよ(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥｀)【積読39】2021/03/30
