内容説明
混迷の現代日本の舵取り役を、今、戦国武将に求めるとすれば、やはり信長か、はたまた秀吉か――否、水先案内人は徳川家康を措いてありえない! 資源に恵まれぬ地に生れ、人質生活を長く強いられた家康のサバイバル戦略を、独自のデータと「加藤史観」が解明する歴史エッセイ。伝奇小説『宇都宮城血風録』を加えた遺作集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Ayako
13
前半は家康論、後半は伝奇小説『宇都宮城血風録』という二部構成だ。家康論では、現代でも通用し得る家康の優れた戦略をわかりやすく解説している。このような地道な史実研究があってこそ、氏の作品の深みが出るのだろうなと感心した。また、歴史豆知識も所々に盛り込まれていて、読み応えがあった。後半の小説は、福島正則を主人公にしたもので、スピード感があり楽しめた。2019/03/21
ハッチ
12
★★★★☆徳川家康と魅力を描いたエッセイ的なものと、大坂夏の陣後の福島正則を描いた歴史小説、2つが収録されている。読みやすかったし、福島正則の方も面白かった。2019/05/07
Takanori Murai
11
2018年4月に亡くなられた加藤廣さんの、徳川家康研究に基づくエッセイ「家康に訊け」と、痛快時代小説「宇都宮城血風録」の2部構成の遺作集。このエッセイに記載された家康を軸にして、加藤節とも言える”新説”を加えた、長編小説を読んでみたかった。宇都宮城血風録は、時代通にはたまらないキャラクターたちが続々と登場し、さながら裏オールスターゲームといったところ。作者の、こんなの書いてみたかったという声が聞こえてきそう。戦闘シーンも、展開もまるでRPGアクションの様相。単純に楽しめます。2019/06/16
Book Lover Mr.Garakuta
8
戦国時代の徳川家康に関する小説2019/03/30
さっと
7
本能寺三部作はじめところどころで言及はあったものの決して主役に据えられることのなかった家康。今作もエッセイの形で、駆け足でその軌跡をたどるのみで、秀吉の出自を<山の民>とするような加藤史観の飛躍もなく、一般的な家康論に留まる。その一方で連載未完で併録された「宇都宮城血風録」は短編「神君家康の密書」や遺作長編「秘録 島原の乱」の橋渡しとなる伝奇小説。秀忠暗殺計画の罪で忠臣・本多家が改易された宇都宮城釣天井事件の裏で実は···という本能寺三部作に負けず劣らずの親豊臣派のifを楽しめる伝奇シリーズで誠によろし。2021/12/25