内容説明
激しく揺れた幕末・日本。明治という夜明けに向かって、若者たちは命をかけて立ち上がる。高杉晋作ら歴史に名を残す人物から、討ち死にし忘れ去られた数多くの武士、愛する人と刃を交えなければならなかった娘まで……。維新期の日本を生きた人々を、その心の葛藤までも見事に描いた、感動の歴史小説集。幕末を生きた武士たちの、真の姿が明らかに!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さっと
3
幕末に材を得た作品集。古川薫×幕末だからといって、長州の維新史ばかりではなく(それならそれで期待大だったけれど)、勝海舟も通っていた道場の島田虎三郎を描いた「玉かんざし」や、薩摩の名君として名高い島津斉彬の裏面をあばいた「夜叉と名君」など、バラエティーに富んだ内容。長州藩を舞台にしたものだと、勤王商人と呼ばれた白石正一郎が「冬の花」「春雨の笛」で大活躍、「青梅」では正妻・妾・老尼という三者三様の立場の女と高杉晋作の関わりが新鮮で興味津々。おもしろかったですわ。2012/06/08
たまご
1
久々に古川さん,読了.晋作の語り口調が私のイメージとちょっと違ったのが違和感でしたが,久々に幕末にひたりました.藩,藩の中でも本藩と支藩,俗論と攘夷,との関連性が複雑にからまって翻弄される白石正一郎が,ある意味あの時代に流された人の象徴なのかもしれません.かれはお金持ちですけど. 斉彬が好きなんですが,「夜叉と名君」でダークな面が書かれていて,(私の読書の範囲で)あまり悪く書かれない分新鮮に感じました.そう,でも,所詮は早死にしちゃうんですよね・・・.まさに泡沫の世.2013/02/17
ピカイチ
0
維新時の長州藩の歴史の細部を見たような。下関人でよかった。2014/02/25