内容説明
授業崩壊が進む「教育困難校」は学力、貧困、教育行政、新自由主義経済などの問題が重層的に絡む、現代日本の縮図だ。教師でもある著者自身の体験、関係者のインタビューを通して、現場の実態をリアルに描き、公教育の再生を探る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
81
偏差値の極端に低い「教育困難校」のルポ。社会の変容もそうだが、この場合、教員のマンパワーが大きなカギになると思う。とは言え、現場の先生方はとにかく忙しく、問題のある生徒に対応しきれていないのも実情だろう。複数担任制を義務付けるなど、学校の状況に合わせて対応していくしかないのだろうが、人不足という大きな壁を取り払わないと難しい。学習障害へのケア、生徒への聞き取りができるコミュニケーション能力を持った教員の育成が今後の課題だと思う。2019/07/18
ぐっち
37
実際に教育困難校で教師をしていた著者。本人がさぼったのではない、教育困難な状況になってしまう要因があること。また、教育困難校があることで、行く場所を提供し、最低限の社会的なスキルを身につけさせられること。なるほどと思った。また、今の教育改革は考えた人から見えている生徒たち(超上位層)向けであって、教育困難な生徒たちに対応している先生たちには遠い異国のような話というのはそうだなあと思う。それにしてもたまに挟み込まれる生徒たちの甘えた発言…「せんせー、終わりにしようよう」とか…可愛いなあと思ってしまった。2019/09/07
terve
28
教育困難校の一日はまさしくこの本にある通りで、授業のない時間も巡視や別室監督が入ってきます。何かあれば深夜まで会議も珍しくありません。生徒のためと言われれば全てしなければなりません。全国的に教諭を減らし、講師を増やそうとしていますが、講師には仕事を任せられません。任せても異動する可能性が非常に高いからです。そのため、少ない教諭がほとんどの仕事をしています。そんな困難校に対して、支援はあまりに少なく、定員割れを起こした時は容赦なくクラス減→教員減になります。とにかく人が足りません。2019/07/15
テツ
25
いわゆる教育困難校について。古き良き漫画や小説で見られる(今もあるんだろうけれど)ギムナジウムと基幹学校のように、日本でもある程度の時点で将来について道筋をつけてしまった方が教育する側にもされる側にも不幸が少ない気がするな。読んでいるだけで居たたまれなくなり辛い。普通に生きていて偏差値40とかになってしまうのならどうやったって勉強には向いていない。そこに拘らずに食い扶持を稼ぐスキルを早いうちから身につけさせるべきだ。猫も杓子もとりあえず高校は出ておけという社会通念を破壊するのはなかなか難しそうだけれど。2019/11/04
ゆう。
25
非行や不登校を抱え、教育の営みが困難になる学校の実態を知ることができる。もっと、教育制度の矛盾もみながら書いてほしかった。2019/08/29
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