内容説明
応仁の乱前夜。天涯孤独の少年、才蔵は骨皮道賢に見込まれる。道賢はならず者の頭目でありながら、幕府から市中警護役を任される素性の知れぬ男。やがて才蔵は、蓮田兵衛に預けられる。兵衛もまた、百姓の信頼を集め、秩序に縛られず生きる浮浪の徒。二人から世を教えられ、凄絶な棒術修業の果て、才蔵は生きる力を身に着けていく。史実を鮮やかに跳躍させ混沌の時代を描き切る、記念碑的歴史小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
三代目 びあだいまおう
302
時は室町、足利幕府の乱れた体制や長引く飢饉で貧しき者達が何万人も犠牲となるどうしようもない時代。後に戦国時代という国史未曾有の群雄割拠の時代を迎えるのだが、無論人々が未来を知るはずがない!そういう時代が背景。下級武士の倅で、齢15で親を亡くし天涯孤独を余儀なくされた才蔵。六尺の天秤棒で我流の棒術を磨くが仕事も希望もない。用心棒先で強盗団に襲われ果敢に防戦、強盗団の頭骨皮道賢に拾われる。牢人なのに周囲の信頼厚き蓮田兵衛が絡み、棒術の達人の元で苛酷な修行に追われる。ここまでが上巻。かなり面白そうな予感‼️🙇2020/04/06
ehirano1
161
これといった何か大きな事が起こるわけではないのですが、物語に欠かせない重要人物の描写が興味深く、読まされるのは著者の筆力といったところでしょうか。登場人物各々にハードボイルド感が既に全面的に顕在化している本作の行き着く先がとっても気になり下巻へ進みます。2023/07/16
佐々陽太朗(K.Tsubota)
114
「無頼」とは何か。所謂「ごろつき」ということか。本書の登場人物たちにそれはあたらない。もっと品格があり、己に対する規範を持っている。ではもう少し格好良く「伝統的な価値観や規制を無視するニヒリズム」ととらえるか。それも少々ちがう。無頼派を気取った太宰のような弱いものではない。室町中期は、貨幣経済が発達し、持てる者と持たざる者の格差を広げ、それに幕府が何の手も打たない状況の中で、やむなく体制秩序の枠を外れ、法も掟も無視して、何にも頼らずに自力で道を切り開いていく野武士的な生き方が本書の「無頼」であろう。2019/05/08
🅼🆈½ ユニス™
112
地名や固有名詞など覚え切る事に苦労しているけど、才蔵の運命はもちろん、特に芳王子の女性としての誇りと生き様が心痛く胸に沁みた。兎に角めちゃくちゃ面白い。早速下巻に移るとする。感想は読了後に❗️2019/02/04
あきぽん
111
2016年時代小説ランキング3冠本の文庫本。室町時代という馴染みのない時代の話だがこれが滅茶苦茶面白い。応仁の乱前夜の荒廃した京都で暗躍する、実在した無法者たちの人生哲学とは?宮本武蔵が好きな人には特におすすめ。2019/03/26