内容説明
日常のなかでふと覚える違和感。恐怖と笑いが紙一重で同居するエッセイ集。小さな子供と大きな犬が遊んでいるのを見るのがこわい。自分以外の全員は実は……という状況がこわい。「よそんち」の不思議なルールがこわい。赤ちゃんを手渡されると、何をするかわからない自分がこわい……。ユーモア満載で可笑しいのに、笑った後でその可笑しさの意味に気がついたとき、ふと背筋が寒くなる。そんな42の瞬間を集めた、エッセイ集。第33回講談社エッセイ賞受賞作。解説:福澤徹三
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
77
文庫版で再読。他者と関わる怖さという点に集約される恐怖。自分でさえも制御できない何かを抱えているのではないかという恐怖。私はここまで怖がりではないのだけど、いやだなあ、と忌避するポイントはいくつか似通ったものがあって、人間だものと思わされる。初読のときよりいくらか分析的に読めたような気がした。2019/08/19
けぴ
57
『ダヴィンチ』で短歌の選評をいつも読んでいる穂村弘さん。今回はエッセイを拝見しました。この人の表現はどこか独特なものがあり、文章を読むと穂村さんだな、と分かる。鳥肌がたつような怖い話とのことですが、日常に潜む心理的な怖さで、いわゆるホラーではありません。豊悦の話がお気に入り。表紙が鳥肌になっているところもポイント高い!2022/02/01
あんこ
51
装丁が凝っていると思ったら、祖父江慎さんの装丁でした。にょっ記のゆるいエッセイとは違って、日常の違和感とその恐怖を淡々と話すエッセイ。暑い日にはなんとなくぴったりでした。引用されていた怪談集が気になったのであとで読んでみたい。わたしは、今も昔も赤ちゃんを抱くのが怖いです。2019/07/10
Akira
46
初穂村さん。読み友さんが読んでいて気になって購入。ぞわぞわってのもあったけどそうでもないのも結構あった。誰もが日頃遭遇しそうな場面で「こわさ」を感じる感性よりも、それを文章にまとめる凄さに感心した。もの書きさんは凄い。表紙のブツブツが一番これ持ち悪かったけど、カバーしたからそれも忘れちゃってた。2019/09/26
ちゅんさん
45
穂村さんが恐さを感じることをまとめたエッセイ。私は穂村さんと似てるのか“わかるわかる”のオンパレード。日頃感じた“ちょっと恐い”や“小さな違和感”なんて私は次の日になれば忘れるのにこの人はずっと覚えてて文章にしてしまう、それも抜群に面白く。そこに“同じこと感じてるのに…”と若干の妬みや劣等感を感じてしまうけど、結局は楽しく満足して読み終えている。2019/08/28