労働者の味方をやめた世界の左派政党

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労働者の味方をやめた世界の左派政党

  • 著者名:吉松崇
  • 価格 ¥850(本体¥773)
  • PHP研究所(2019/07発売)
  • ポイント 7pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784569843322

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内容説明

フランスでの燃料税増税への反対デモ「黄色いベスト運動」のように、いま世界中で政治への不満が高まっている。その背景として、世界の政党の大きな変容が挙げられる。かつて左派といえば、労働者の権利を守る集団だった。だが現在の左派政党は労働者の味方であることをやめ、エリートのための政党に変容している。折しも日本でも現在、消費税増税と移民受け入れという労働者の賃金と消費を下げる政策が進行中だ。この絶望を回避する道はあるのか? 『21世紀の資本』の著者トマ・ピケティの政治分析をヒントに、21世紀の労働者を救う道を探る。 【目次より】●第一章 ピケティの政治分析から見た政党の変質 ●第二章 「弱者」のための政党が消えた日本 ●第三章 移民の政治経済学 ●第四章 マクロン大統領とフランスの危機 ●第五章 ブレグジットとイギリスの行方 ●第六章 アメリカ二大政党の将来を読む ●第七章 EU難民問題――日本への教訓

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ばたやん@かみがた

68
刺激的なタイトルです。先進国において『持たざる者』とされてきた労働者階級。彼らの国政における発言力を保障するのは従来は英労働党、仏社会党、日本社会党といった社会民主主義的な左派政党でした。しかし、労働者を多数雇用してきた製造業の衰退や移民などのマイノリティへ左派政党が軸足を移しかえたことにより、労働者や低所得者層の声を救い上げる政党が先進国から消えようとしている──『21世紀の資本』の著者T.ピケティがこう著した衝撃の論文を手懸かりに、仏英米の政治経済の状況と日本への教訓を探るのが本書です。(1/7)2020/04/24

HANA

63
題名から総括的な本かと思って読み始めたのだが、実際は欧米や日本の経済を中心に語った物であった。それでも前半部ピケティの論に従いながら、現在の右派左派のスタンスが従来の資本家対労働者的なものから商人エリート対知的エリートに変化しており、その空隙に陥った労働者階級に目を付けたのがポピュリズム各党と教えられたのは面白い。これで何故最近のリベラルが環境にやたら言及するのかと、何故凋落したのかがわかるような気がした。思想に投票するの一部の人だけだしね。後半の経済政策については著者のスタンスに気を付けて読む必要あり。2019/12/09

ネコ虎

21
題名には非常に興味があるので期待したが、欧米各国の政党の経済政策評価であった。それでも各国左派政党が、それぞれの事情はあるものの低所得者層又は労働者階層から離れていった状況がよく描かれていた。経済政策よりアイデンティティポリティクスに関心が移ったため、左翼政党は労働者の党から知的エリートの党への変質が世界的に起こった。グローバリズムと新自由主義への対応が左翼の中で捻じれてしまっていることが移民や難民、財政姿勢でわかるが、それがスッキリしないことが左翼低迷の原因だ。それにしても日本の左翼政党のお粗末なこと。2019/11/11

keint

10
ピケティの政治分析を元にアメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリアの政治経済事情を読み解き、左派政党と右派政党の変容を解説している。 ピケティの「バラモン左翼」、「商人右翼」という区分自体は知っていたが、それを実際に各国に当てはめていくという解説方法はわかりやすかった。2020/06/13

きゃれら

9
題名は政治の話のように見えるが、実際は経済政策がテーマ。「経済成長」を物差しに、イギリス、フランス、アメリカ、ドイツ、イタリア、そして我が国の政治情勢と経済政策について説いている。経済の分からない政治家が采配を振るうと国民が不幸になるというのが基調で、ギリシャの財政破綻を見たキャメロン首相や菅直人首相が緊縮財政に舵を切ってしまったのとかが典型のようだ。さて、新首相の打ち出す政策はちょっとポピュリズム的でだんだん不安になってきたんだけど、ちゃんと経済わかってらっしゃるのかなあ。野党の方も頓珍漢だよなあ。2021/12/08

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