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内容説明
時は、四〇〇年続いた中国殷の時代末。周の国で、魚が釣れるはずもない真っ直ぐな釣り針を水面の上に垂らし、幾日も川辺に佇む老人。その老人の噂を聞いて会いに赴いた周の文王は、一目会っただけで、先君の太公が予言した、周に興隆をもたらす大賢人と見抜き、軍師とした。その老人は、太公が待ち望んだということから、「太公望」と尊称された。太公望は、文王とその子武王に仕え、比類なき軍略と、ときには権謀術数をも自在に駆使して周の国力を増強させ、強勢を誇った殷帝国との戦いに勝利をもたらし、周に覇をとなえさせた……。後世、兵法の始祖とも称された太公望。のちに項羽を倒して漢帝国を樹立した劉邦の軍師張良も、太公望の兵法書といわれる『六韜』から得た軍略で劉邦に勝利をもたらしたと伝えられる。本書は、そんな伝説に彩られた史上最高の軍師太公望の叡智に溢れた生涯を、雄渾な筆致で描き出した長編歴史小説である。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やいっち
53
時代(歴史)小説好きな父の蔵書から。太公望は釣り人でなくとも有名な伝説の人。あくまで小説として楽しんだ。2024/02/19
糜竺(びじく)
38
太公望は紀元前11世紀頃の中国の人物で、悪逆を尽くした殷王朝を倒し、周王朝を打ち立てた名軍師です。サクサク読みやすく、なかなか面白かったです。太公望という人物は、前々から名前は聞いた事があったんですが、どういう人物かほとんど知らなかったので勉強になりました。太公望の弟子で副主人公の武吉が登場するんですが、太公望と武吉との会話は仲の良さが滲み出ていて、時に漫才のようでもあり、何かとても良かったです。仁と義を重視する精神も非常に伝わってきて、あらゆる困難を耐えて目的を成し遂げた太公望から色々学べたと思います。2014/12/14
フミ
20
紀元前1100年代という、途方もない時代の「殷周革命」を、現代人向けに分かり易く物語にしている作品です。賢人の「太公望・呂尚」だけでは、動かし辛いからか、話し相手&使い走りで、木こりの青年「武吉」が大活躍して、準主役級の扱いです。 資料の少ない時代の中から、周王朝の貴族たちや、敵である殷王朝の「紂王」の暴虐ぶりと諫めようとする「三仁」の話なども、全415頁程の長さの中に、よく詰まっていたと思います。「妲己(だっき)」は、出番少な目だったかな…。少しだけ妖術?らしきものを使っていましたが、何だったんだろ…。2024/05/23
terve
8
封神演義から入って読んでしまいました。太公望は従来の老人で、姜族の出身です。殷への復讐のために周の文王を助けるのですが、文王は志半ばで逝去します。その後、武王とともに易姓革命を成し遂げますが、やはりこの本の魅力は武吉との関係です。武吉を思い涙を流す姿、師を思い涙を流す武吉の姿。ただの樵が周を代表する百人隊長にのし上がる様は、理想の師弟関係ではないでしょうか。読んでほほえましくなる本でした。2019/04/14
BIN
3
殷周革命の立役者である太公望を描いた作品。宮城谷版太公望を読んでからは爺さん太公望はあまり合わなくなったのだが、爺さん太公望でも面白かった。四友も個性がちゃんとあってよく書かれていたし、ストーリーも良い。ただ結局武吉と妲己の関係がわからなかったのが残念なところではある。2014/09/06