内容説明
伝説の屈指の女性俳人、存命なら百歳に。二冊の句集『春雷』『指環』と未刊行俳句集成、執念で生涯を追いかけた川村の「鈴木しづ子追跡」をあわせて一冊に。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
かふ
17
鈴木しづ子の俳句(2つの句集と巻末に未収録作品)と川村蘭太のルポルタージュ『鈴木しづ子追跡』の合弁本。それまで「娼婦俳人」というイメージだったが川村蘭太のルポを読んで鈴木しづ子のイメージが変わった。俳句は自然(季語)の中に「私」を消していくものだと思っていたが鈴木しづ子の強烈な自我が押し出された俳句は17文字の枠では収まり切ることがない、俳句としてよりも連句として綴った日記のようで、戦時から終戦までの一人の女の生き様として読める。俳句よりも短歌的。2020/10/06
ロア
14
『死にどころこころゑがくや月に雲』『ニッキ苦し生きることは最大悪』2019/10/08
チェアー
12
正直、句はそれほどうまいとは思わない。美貌とスキャンダラスな恋愛模様(当時比)が注目された、ということなのかなあ。本人よりむしろ周囲=師匠なる人、筆者をここまで追わせる人として、何かを持っている人だったのだなと思う。2019/11/10
すいれん
3
鈴木真砂女の句集を検索してヒット。切れのいい言葉は官能的とは思えず。初めて読んだのが40過ぎで、ワタシが女だからかも。性別と読む時期で印象、がらりと変わる事は多々あるけども。とくにそう感じた。あまり「娼婦」に惑わされてはいけない。よくよく考えたら「あ、エロチック」みたいな句が好き。「雪こんこん死人の如き男の手」「コスモスなどやさしく吹けば死ねないよ」「流星や恋恋として喰むいちじく」が好き。タイトルの「夏みかん…」よりも評論?レポートに出てくる上野ちづ子の句「レモン色の服着て女の体液も酸味」の方が衝撃的。2019/09/12
コノヒト
1
巻末の、未発表投稿句が鈴木しづ子の真骨頂な気がしてならない。恋人ケリー・クラッケを詠んだ数多の句は、その物量からして迫ってくる力が強い。ずしりと重い。2022/06/07