内容説明
敗戦とともに世間から抹殺された日本軍の組織がある。「恤兵部」という名のその組織は、国民の戦意高揚を狙い、さまざまな施策を打ってきた。恤兵部はどういう経緯で誕生し、何をし、どう消えていったのか? その全貌を明らかにする。
● 生みの親は大山巌。日清戦争のときに発足。●一般庶民が挙って収めた恤兵金。外国人も収めていた。●商戦炸裂。デパートの慰問品売り場。●慰問袋作成、女学生の手で。●傷痍軍人の慰恤。●恤兵部が仕掛けたアイドル動員の戦地慰問。●子役スターが戦地で人気に! ●恤兵の火を消すな! 恤兵部の文化施策。●恤兵部が自前で起こしたメディア。●終戦と恤兵部
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
犬養三千代
8
山県有朋が「雪の行軍」を聞きながら臨終を迎えるシーンではじまる。恤兵。恤は憐れむという意味もある。兵士をねぎらう物品、慰問団。洲崎、吉原の「唄い手」から貧者の一燈と朝日新聞を始めとするマスコミが国民を煽り皇族までが一丸となり慰問袋を。芸能人、作家までが戦地に慰問。アイドルも。色々な雑誌「恤兵」「陣中倶楽部」を発行し戦線の兵士を慰める装置だ。最後に内海桂子が中国へ、中村メイコが南方へ行ったインタビューで終わる。この二人の生々しい話は「家族が生きる為に行った!」知らないことばかりだった。2019/12/02
Aby
4
日清戦争から太平洋戦争まで,出兵した兵士の慰問,慰安の物品は,市民からの献金で行われていた(予算化されていない).「総力戦」は軍需工場で働くだけでなく,このような形でも行われていた.それを各種メディアが煽りまくる.売り上げにつながるから.◆日本赤十字社の歴史で恤兵について触れられていた.2022/07/13
kawasaki
4
募金、芸能人の前線慰問から慰問雑誌まで含めた「慰問」の総体(恤兵)を、それを掌った陸海軍恤兵部から捉えようという志の本。著者はメディア史の人で、自ら発掘された慰問雑誌の紹介や、当時のメディアで流布された「美談佳話」の紹介が面白く、現代の「ボランティア」とスライドさせて考えさせる視野を持つ。国民の「胸の中心にある一番弱く、柔らかな感情を恤兵は直撃した」(p.5)。前線慰問経験者である内海桂子・中村メイコ両氏への聞き取りを載せる。2019/07/29
高木正雄
2
恤兵部と言えば人事局恩賞課長と兼任になっていることぐらいしかしらなかったが、この本でその具体的な内容がわかった。ほとんど内地の慰問団から見た視点で書かれているが、戦地にいる兵隊の従軍記などにも慰問団や慰問袋について書かれているからそういう目線もあれば良かったのではないだろうか。文中細かい間違いが多い、特に部隊名などはちゃんと調べてほしかった。北関東軍はいくらなんでも…2024/07/06
Akio Kudo
2
★★★★★ 今では読み方さえ分からない恤兵部隊について、ここまでよく調べあげたものだと感心する。所謂募金や喜捨なんだろうが、それが侵略に使われたことは、善意の在り方を考えるべきだと思ってしまう2019/10/08
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