内容説明
カビの実態は意外に知られていない。
ヒトに害を与えもすれば、画期的な医薬品も生んでいる。
チーズ、醤油、日本酒、鰹節……日本の食卓には不可欠だ。
カビ臭は不快だが、ルーペをのぞけばそこはお花畑。
食品、洗濯機、浴室のカビなどの事例からその正体、つきあい方を探る。
『人類とカビの歴史』改題。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぶち
99
梅雨の時期はもちろんのこと、一年を通じてカビと遭遇する機会は多いものです。お餅や食パンに青黒いカビがついていることを発見したりします。浴室や居間にもカビを見つけることもあります。嫌なのは目に見えない場所のカビです。洗濯機の洗濯槽の裏やエアコン内部のカビは、本当に困りものです。この本は、そんなカビとのつきあい方を説明してくれています。気を付けることは、湿気を防ぎ、乾燥を心掛けることにつきます。まぁ、なかには乾燥に強いカビもいるようですが....でも、生活環境をもう一度見直してみる良いきっかけとなりました。2020/06/21
ホークス
45
元本は2013年刊。カビの情報が盛りだくさんで、洗濯機や室内に生えるカビの生態も詳しい。カビと細菌は同じ「分解者」として競っている。柑橘類にカビが生えるのは、増殖速度で優る細菌が酸に弱いため。カビは強酸のインクでも生きられる。カビの生長に必要なのは、水分と僅かな栄養。防ぐには何より水分を断つ。栄養はちょっとでよいから厄介だ。カビとキノコはほぼ同じ生物で、酵母と地衣類は親戚。粘菌は少し遠い。地衣類(菌類)とコケ(植物)は全くの別物だった。餅を水に浸す水餅は、昔は半年も保存した。人は今もカビと共に生きている。2023/06/07
ふたば@気合いは、心を込めて準備中
9
カビの研究者が、身近なカビについて解説する。これまでの説とは異なる部分もあり、カビを知るためには良い一冊だと思う。家の中にはカビが潜んでいる。常に同居しているモノなのだ。そして、今現在、自分には何も悪さをしていない。。。 確かに数十年前まで、カビは日常にいた。常に、隣にいたのだ。研究が進んで、当時の常識が覆った部分もあるが、結局忌み嫌い、徹底的に排除せねばならぬ存在と言うものでもない。人間とカビは、ウイルスとカビより、近しい存在にある。そういうものなのだ。2020/12/12
asobi
5
目からウロコがボロボロ落ちる本。カビと細菌、きのこの違いから、乾燥してたらカビが生えないというのも大間違い。冷蔵庫、エアコン、洗濯機とカビの歴史やマツタケが北朝鮮の名産である理由等など生活のすべてに菌類が関わっている事がよく分かる。生まれるちょっと前の日本から、太古の巨大キノコ(8メートル!)まで。一家に一冊必携でしょう。2019/07/14
tnyak
5
カビは菌類の仲間、細菌とは全く違う生き物、という初歩から、カビの生態や特徴を分かりやすく解説した良書。水分と栄養分があれば容易に繁殖するカビ。冷蔵庫の製氷機付近など、感覚的に繁殖しそうにない場所でも殖えていくことに驚かされた。「カビは、迂闊な私たちを驚かせてくれる意地悪な存在である」2019/06/16