内容説明
二〇世紀を代表する作家カフカは、いつも死にたいと思っていました。しかし、ついに実行はしませんでした。「なぜあの人は自殺したのか?」と問われる人はあっても、自殺しなかったからといって「なぜしなかったのか?」と問われる人は珍しいでしょう。しかし、カフカはそういう人です。親との関係に苦しみ、執筆と「パンのための仕事」の狭間でもがき、結婚に不安を抱き、……。人生のほぼすべての場面で苦悩していた彼は、いったいどのように人生を全うしたのでしょうか。カフカの日記と手紙をてがかりに、弱くあることの意味を再考し、現代人にとってのヒントをちりばめた一冊。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ベイマックス
71
カフカ、おもしろく読ませて頂きました。でも、親友といい婚約者といい、変わり者に付き合える才能も変わり者ゆえなのかも。〇ある意味頑固者過ぎるので理解の範疇を超越しているけれども、共感出来てしまうところもある。そして、共感出来る自分が、少し嬉しく少し怖い。2024/10/10
ネギっ子gen
60
【死にたいという願望がある。そういう時、この人生は耐えがたく、別の人生は手が届かないようにみえる byカフカ】<ぼくが全面的に信頼できるのは、死だけだ。死になら、自分を差し出せる。確かのは、このことだけだ/ぼくの人生は、自殺したいという願望を払いのけることだけに、費やされてしまった>などと書いたカフカ…それでも、死を選ぶことはなかった――。その事実からカフカの人生を見つめ直す書。2016年刊。<カフカも、つねに自殺を口にしますが、ついに本当に自殺することはありませんでした。自殺未遂もありません>と…… ⇒2025/01/22
Y2K☮
36
名著。カフカの遺した膨大な手紙と日記が他人事じゃない。誰よりも大切に思っていて、だからこそ返事を待ち切れず、時に暴走して困惑させる。同じ相手と二度婚約し、二度破棄した背景が切ない。「掟の門」は彼の生涯そのものだと実感した。本を出したいけど出したくない。結婚したいけどしたくない。意を決して実家を出た後の末路を見ても彼の逡巡が間違いとは思えぬ。「判決」はフェリーツェに初めて手紙を出した直後に書かれ「審判」は実体験を膨らませたもの(カフカはヨーゼフKと違って無実とは言い難いかもしれないが)。全てを読み直したい。2023/11/08
ばんだねいっぺい
35
頭木さんの本だからと手に取る。読めば「あぁ、カフカ」となる。簡単に言えば「手紙魔で情緒不安定なめんどくさい人」なのだ。テーマである「自殺しなかった理由」は、直接に表現されず、カフカの生きざまを文章を引用して提示してそこから読者が読み取る趣向だ。最後の写真を見ると「めんどくさいけれど、愛される人」なんだと思った。2022/01/23
香菜子(かなこ・Kanako)
35
カフカはなぜ自殺しなかったのか?: 弱いからこそわかること。頭木弘樹先生の著書。将来に悲観的、絶望的、孤立無援で生きる気力もないという状態に置かれている弱者だからこそ見えてくるものは決して少なくないと思います。順風満帆で自信満々の強者には決して見えないことでも弱者だからこそ見える。そしてそれが人生の糧になることだってあるはず。2018/12/28
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