カフカはなぜ自殺しなかったのか? - 弱いからこそわかること

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カフカはなぜ自殺しなかったのか? - 弱いからこそわかること

  • 著者名:頭木弘樹
  • 価格 ¥1,540(本体¥1,400)
  • 春秋社(2019/06発売)
  • ポイント 14pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784393365434

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内容説明

二〇世紀を代表する作家カフカは、いつも死にたいと思っていました。しかし、ついに実行はしませんでした。「なぜあの人は自殺したのか?」と問われる人はあっても、自殺しなかったからといって「なぜしなかったのか?」と問われる人は珍しいでしょう。しかし、カフカはそういう人です。親との関係に苦しみ、執筆と「パンのための仕事」の狭間でもがき、結婚に不安を抱き、……。人生のほぼすべての場面で苦悩していた彼は、いったいどのように人生を全うしたのでしょうか。カフカの日記と手紙をてがかりに、弱くあることの意味を再考し、現代人にとってのヒントをちりばめた一冊。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Y2K☮

35
名著。カフカの遺した膨大な手紙と日記が他人事じゃない。誰よりも大切に思っていて、だからこそ返事を待ち切れず、時に暴走して困惑させる。同じ相手と二度婚約し、二度破棄した背景が切ない。「掟の門」は彼の生涯そのものだと実感した。本を出したいけど出したくない。結婚したいけどしたくない。意を決して実家を出た後の末路を見ても彼の逡巡が間違いとは思えぬ。「判決」はフェリーツェに初めて手紙を出した直後に書かれ「審判」は実体験を膨らませたもの(カフカはヨーゼフKと違って無実とは言い難いかもしれないが)。全てを読み直したい。2023/11/08

香菜子(かなこ・Kanako)

35
カフカはなぜ自殺しなかったのか?: 弱いからこそわかること。頭木弘樹先生の著書。将来に悲観的、絶望的、孤立無援で生きる気力もないという状態に置かれている弱者だからこそ見えてくるものは決して少なくないと思います。順風満帆で自信満々の強者には決して見えないことでも弱者だからこそ見える。そしてそれが人生の糧になることだってあるはず。2018/12/28

おさむ

34
木皿泉さんのエッセイの中で引用されていた1冊です。不世出の絶望名人かつノイローゼのエキスパートたるフランツ・カフカ。その40年の生涯を文学作品ではなく、日記や手紙から浮き彫りにする、という興味深い試み。あの「変身」や「審判」が運命の女性、フェリーツェとの出会いと別れがなければ、生まれなかったというエピソードはトリビアでした。情緒不安定だからこそ創造性が高まるというのは、古今東西の作家達に共通する真実なのでしょう。言葉にすると逆に不正確になる。「言語隠蔽」という概念は初耳でしたが、なるほど腑に落ちました。2019/08/11

ばんだねいっぺい

33
頭木さんの本だからと手に取る。読めば「あぁ、カフカ」となる。簡単に言えば「手紙魔で情緒不安定なめんどくさい人」なのだ。テーマである「自殺しなかった理由」は、直接に表現されず、カフカの生きざまを文章を引用して提示してそこから読者が読み取る趣向だ。最後の写真を見ると「めんどくさいけれど、愛される人」なんだと思った。2022/01/23

踊る猫

31
一気読み。個人的にこじれた悩み事を抱えてしまって、「待つ」ことしか出来なくて一日が長いので、カフカを読みたくなった時にこの本のことを思い出して、読み終えてしまった。カフカもまたなんらかの出来事を「待つ」ことが出来ず、しかし「待つ」しかなくその気散じのように様々な作品/文章を書きまくった。従ってカフカの生み出した作品はカフカの、「『待つ』ことに耐えられない」という苦悩と切っても切り離せない。だからなのか、本書を読んだ後少しだけ光が見えたかのような、そんな気分になった。むろん明日もまた地獄の一日が訪れるのだが2017/08/09

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