慟哭は聴こえない

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慟哭は聴こえない

  • 著者名:丸山正樹【著】
  • 価格 ¥1,629(本体¥1,481)
  • 東京創元社(2019/06発売)
  • ポイント 14pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784488027971

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内容説明

手話通訳士・荒井尚人は、結婚後も主夫業のかたわら通訳の仕事を続けていた。そんなある日、ろうの妊婦から産婦人科での通訳を依頼される。荒井の通訳は依頼者夫婦の信頼を得られたようだったが、翌日に緊急のSOSが入り――(「慟哭は聴こえない」)。旧知のNPO法人から、荒井に民事裁判の法廷通訳をしてほしいという依頼が舞い込んだ。原告はろう者の女性で、勤め先を「雇用差別」で訴えているという。かつて似たような立場を経験した荒井の脳裏に、当時の苦い記憶が蘇る。法廷ではあくまで冷静に自分の務めを果たそうとするのだが――(「法廷のさざめき」)。コーダである手話通訳士・荒井尚人が関わる四つの事件を描く、温かいまなざしに満ちた連作ミステリ。『デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士』『龍の耳を君に デフ・ヴォイス新章』に連なるシリーズ最新作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

しんたろー

292
デフ・ヴォイス3作目は、4つの短編で荒井が父になってゆく過程が家族物語として丹念に描かれている…「歩み寄る」が本作のテーマだと思えたが、それは健常者が聴こえない事を想像するのが第一歩だと痛切に感じた。おざなりにされがちな問題を説教臭くなくヒューマンドラマとして伝えてくれて熟成されてきたと思う。何森刑事が変死した男の身元を捜査する話は哀しい想いに胸が締め付けられ、障碍者雇用裁判シーンのろう者たちが上げる「声」に涙…無知無関心な自分が恥ずかしい。真摯な気持ちが記された後書きに「続けて下さい!」と思わず呟いた。2019/07/02

246
聴者としてはどれも身につまされる話しばかりで想像の及ばないことばかりでした。中でも第3話の「静かな男」が良かったです。この話しちょっと、うるっと来てしまいました。また今回では荒井の子供も生まれるんですが子供は女の子で耳が聞こえない子でしたが美和との手話でのやりとりが微笑ましく次作も期待したいと思います。2019/11/05

けんとまん1007

246
考えさせられる1冊。聴覚障害がキーワードになっているが、もっと広げて考えることができる。自分のことを基準にするだけでは、考えられない世界が多い。難しこと。すぐに、忘れてしまうことだ。2019/10/08

昼寝ねこ

238
手話通訳士・荒井尚人の活躍を描く『デフ・ヴォイス』シリーズの第3弾。短編集だがストーリーは個々に独立していて連作にはなっていない。もちろん登場人物は被るし、尚人がその卓越した手話通訳技術で聾者を救済していくスタイルは変わらない。尚人の家族関係が少しずつ進化していくのも読みどころだ。どれも読み応えがあるが特に第三話の『静かな男』がしっとりと味わい深い。解説で触れているが何森刑事シリーズが始まる布石となった作品のようだ。『デフ・ヴォイス』の方は第4弾が出ていて、まだまだ続きそうなので今後の展開が楽しみだ。2024/05/23

いつでも母さん

225
このシリーズはいつも考えさせられる。私は何も知らないで生きてきたのだなぁと。連作4話、子供が出来た新井家の6年間。新井さんしっかりと親になってて、それだけで胸が熱くなった。この社会の様々な【隔てていること】や家族であっても乗り越える事は次々とある。一つひとつが胸にチクリと突き刺さる。『聴こえる人』『聴こえない子供』「私はここにいる」この叫びが重い。私たちの姿勢を試されてるのだ。と私は受け取った。英知君に会えたのも嬉しい。みゆきの異動先や美和と瞳美、甥・司のその後も知りたいもの。まるちゃん、続編待ってます。2019/07/18

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