内容説明
百合――女性間の関係性を扱った創作ジャンル。創刊以来初の三刷となったSFマガジン百合特集の宮澤伊織・森田季節・草野原々・伴名練・今井哲也による掲載作に加え、『元年春之祭』の陸秋槎が挑む言語SF、『天冥の標』を完結させた小川一水が描く宇宙SFほか全9作を収める、世界初の百合SFアンソロジー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
芳樹
84
9編の短編からなる百合SFアンソロジー。これは良い。尊みがすごい。それぞれ違う百合のあり方。いずれも名作ですが、個人的には森田季節氏の「四十九日恋文」に打ち抜かれました。2019/07/15
なっぱaaua
74
百合×SFといいながら、SFアンソロジーとして面白かった。SFMの作品は既読ですが、改めて。「キミノ~」相手が出てこない百合に吃驚。宮澤さんのこういう作風もいいですね。「四十九日~」切ない。こういうの初めて。「ピロウ~」最終頁が尊い。「幽世~」The原々だ。「彼岸花」このやり取りが美しすぎ。「月と~」ソ連百合ってなんだと思ったけど美しい。「海の~」種を超えた多様性だ。「色の~」とっても知的。中国SF恰好良い。「ツイン~」最後にこれ。正しく楽しいではないか。どれもこれも傑作。SFアンソロジーとしては最高。2019/07/10
buchipanda3
72
百合をモチーフにしたSF集。陸さんのは言語学を題材にした近未来の話。完全なるAIは実現しないことの証明が社会の仕組みでが消失する皮肉とブラックボックスに包まれていく世界の悲哀が印象深い。以前、小説自動創作が話題になったが、もし意味不明な文章がミスなのか難解な比喩なのか判別できない場合どうなのだろうとふと思った。草野さん、身悶えしそうなほどの独占欲が物理学に変換。最後は究極の形へ。伴名さん、不穏さと儚さと血で紡がれる世界がいい。南木さん、舞台設定に妙味。小川さん、何と宇宙漁師。粒揃いの作品ばかりで楽しめた。2019/06/23
ゆかーん
67
思ったより百合な感じではなかったけど、それぞれ作家さんの個性あふれる作品を堪能できました。一番良かったのは、『月と怪物』というソ連百合。ソ連ではタブーとされる同性愛と社会主義の二重の柵が、少女たちを苦しめる描写に、ノンフィクションを見ているかのようでした。また、『色のない緑』も面白かった!AIによる翻訳は人間を超越するかのか?数学のような答えが1つではない複雑な言葉の組み合わせを、人工知能はどこまで理解できるのかを問う物語。ルール化された言葉の羅列が、表現の自由を奪いかねない、危険な世界に恐怖しました。2019/10/07
雪紫
57
切なく、時々難しく、尊い。全編独特の味わい(何人か知ってる人いるんですが・・・)。「四十九日恋文」の少なくなる文面、「幽世知能」の主人公の考えた末の結末「彼岸花」の百合と大正と吸血鬼、手紙のやりとりとか刺さる人にはめっちゃ刺さるし、「月と怪物」は段々百合の香りに気付いて行く感覚がたまらなく、「色のない緑」の結論や思考に魅せられる。百合的にがっつりもさりげなく仕込んだ故の破壊力もたまらない傑作揃いのアンソロジー。2020/12/21
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