内容説明
うつ病、貧困、自殺未遂、生活保護、家族との軋轢、周囲からの偏見のまなざし……幾重にも重なる絶望的な状況を生き延びてきた著者。彼女のサバイバルの過程を支えたものはなんだったのか? 命綱となった言葉やひととの出会い、日々の気づきやまなびを振り返る体験的エッセイ。精神を病んだのは、貧困生活に陥ったのは、みんなわたしの責任なの?──苦難のフルコースのような人生を歩んできた著者が、同じ生きづらさを抱えている無数のひとたちに贈る「自分で自分を責めないで」というメッセージ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
harass
86
著者のほかの本から続けて読む。精神病院の入院や家族の思い出などのエッセイ。前作で少し触れられていたDV気味の父のことやいじめられていた学生時代のことなども語られる。もともと喋りなどがうまい人のようで文章も気取りなくなかなか達者だ。題名はおそらくだが世間的に自己責任論が定着しつつあるのでそれへの反発でつけたものと思われる。障害者、特に精神障害のものへの偏見などがあり、経済的に困窮することの策として、生活保護をすすめている。もちろん生活保護の問題も指摘している。2019/10/31
sayuri
66
1977年生まれ、41歳の小林さんの実体験が赤裸々に綴られたエッセイ。酒乱の父を持ち、学校ではいじめに合い先生からは非情な言葉を投げつけられる。短大までは行けたものの、その後の転落ぶりが壮絶で辛すぎる。手取り12万、生活保護以下の給料で働かせるいわゆるブラック企業に就職、貧困に陥り何度も繰り返す自殺、精神病院入院、生活保護、これでもかというくらい次々と不幸の連鎖が続く。精神病院のあまりの怠慢さに呆れ、世間の容赦ない偏見に切なくなる。あなたは悪くない、生きていてと声を掛ける大人の存在がいかに大切かを感じた。2019/06/13
アコ
30
著者2冊め。前作がよかったので期待してたけど、んーこれはちょっと。全体的に恨み節が多い。「美大に行かせてくれなかった親のせい」という気持ちはわからんでもないが、私立美大の学費は年間150万以上。高いよ?毒親、特に父の経済的DVは酷いと思うけど、本当に美大に行きたいなら国公立もある。独学でデッサンを描きまくることも出来る。前半の生活保護は福祉を学んだ人が担当してほしいという主張は共感できたけど後半目立つ上から目線にイライラ。文章はセンスあり、というか好みなのだけど。2019/08/01
レリナ
24
生きづらさを抱えた人に是非読んで欲しい本。著者の体験した壮絶な話が心に響く。つらい。ひたすらにつらい。こんな体験をした人だからこそ書けるエッセイ。現代社会の闇というか、人間の闇というか、体験してきたこと全てが直接伝わってくるかのような文章。これは読んでよかった。私自身もつらい経験をしたことがあったので、読んで共有できることが多々あり少し救われた気分。こういう壮絶な経験をした人の本は説得力がある。自分の人生捨てたもんじゃないなと自分を見返すいいキッカケになった。いい本に出会えた。2019/05/12
ネギっ子gen
22
著者のカバーイラスト、いい感じ。著者の人生は、苦労のフルコースだった。酒乱の父親。学校に行けば苛めに。就職浪人の末の職場はブラック会社で、生活保護以下の給料。で、貧困に耐えられず自殺未遂。精神病院の閉鎖病棟へ。退院しても就活は上手くいかず、病気悪化。ふたたび自殺未遂。入退院を繰り返し、どんどん薬は増え、副作用で太り、生活保護。でも、そんな私に「仕方がないよ。あなたは努力している」と言ってほしいし、<私は私のことを「わたしはなにも悪くない」と思えるようになりたい。これはそんな思いを込めて、書いた>本だと。⇒2020/12/14




