内容説明
社会問題はますます複雑になり、既存の学問では十分な解決策を提示できない――そうした意識から生まれた「公共政策学」。政治学や行政学、経済学など多分野の知識を総合化した新しい学問だ。専門家のみならず、市民の「知」も取り入れるなど、問題解決に役立つ学問へと進化している。本書は、少子高齢化、シャッター商店街、生活保護、学力低下など、日本の課題を例に取り、公共政策学のエッセンスを伝える入門書である。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かごむし
23
まず「公共政策」とは、公共的問題を解決するための解決の方向性と具体的手段と定義される。少子化問題や、生活保護政策など、いかにして問題として抽出され、解決のための政策を立案し、複雑に利害が錯綜する関係者間を調整し、法に基づいて実行し、評価するか。各プロセスごとに理論的な考察、説明があり、そのあと、具体的な問題を取り上げて、実際の現場での動きを取り上げるから、あの政策の裏側にはそんな事情があったのかと、興味深く読むことができた。政治家、官僚、専門家、現場の第一線で働く人、それぞれの果たす役割がよく理解できた。2018/06/30
isao_key
11
はしがきで著者は政策問題とその解決案である公共政策を研究の対象とするのが公共政策学であると述べ、具体的には通勤、通学ラッシュの問題のように、個人では解決しにくく、社会で対応すべき問題が「政策問題」とされ、その政策問題の解決策が「公共政策」である。環境、教育、税制、高齢者福祉など、社会全体で解決すべき課題を研究する学問。公共的問題解決のためには、問題の発見と定義が必要で、次に認識・定義された政策問題に対して担当府省で解決案(政策案)が設計され、関連する法案が国会で決定される。政策が実施された後、評価をする。2018/02/06
miyatatsu
8
私が現在通っている大学にも公共政策をテーマにしている学部があるが、ようやくその学部の存在価値がわかりました2018/12/01
さとうしん
8
公共政策学の入門というより公共政策決定のプロセスをまとめた本のように感じた。「客観的・中立的な立場の専門家が価値中立的な分析によって政策案を形成する」という政策決定のあり方は幻想であり、一般の人が専門家とは違った枠組みで物事を判断するのは知識不足として批判されるものではないという指摘が面白かった。昨今反原発運動や豊洲問題に絡めて取り上げられる「安全より安心」という言葉に通じる視点だと思うが、これを「感情論」として片付けるのはおかしいということになるだろうか。2017/07/19
省事
7
「公共政策」が以前からよくわからなかったので読んだ本。 公共政策学が誕生した歴史的経緯、更に「問題の発見」と政策の「設計」「決定」「実施」「評価」など各段階で、どのような点が論点になるか、日本の様々な政策を事例に説明されておりわかりやすい。特に「評価」の部分は興味深かった。本書が断るとおり、公共政策学自体や対象の紹介と言うべき本で、学問としての公共政策学が何を学ぶものかまでは詳らかでない印象を受けた。ただ行政における公共政策の実態論として参考になるし、新聞等を読む際も頭に入れておくと役立つ点が多いだろう。2019/04/12
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