内容説明
明治青年の血をたぎらせた娘義太夫。あまりの熱狂ぶりに時の文部大臣は禁止令を出し、古くはあの遠山の金さんも三百人からの娘義太夫を捕縛したと伝えられている。悪魔と呼ぶ暴露本が出る一方、志賀直哉は「神のごとし」と絶賛し、竹久夢二は「涙が出るほど」感動した。神か悪魔か、果たしてロマンの化身か。もてはやされ、叩かれて、今や忘れ去られようとしている江戸・東京娘義太夫二百年の栄光と濡れ衣の歴史を照射、検証する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
筋書屋虫六
3
かの国鉄・十河総裁も若いころ娘義太夫に嵌ってたと別の本で読んだが、江戸時代には禁令が出され、明治には青年達に追っかけ連を組織させるほど大流行した芸能なのに、いまや歌舞伎・文楽のように見る機会がないのはもったいない。著者は娘義太夫の歴史を丁寧に紐解きながら、何がこの芸能を衰退に追いやっていったのかも検証しており興味深い。一世を風靡した呂昇の芸風が「歌い型」とされて上級なものとされず継承者がないとか、女性が担う芸能の立ち位置や難しさが伝わってきていろいろ勉強になった。とりあえず現役“女義”の芸を観たい。2016/02/07
じろう
0
今で言うAKBみたいなものかと思い読み始めたが容姿風俗は違えども若い男が若い女性アイドルに群がるという心理は全く同じ。有名作家や詩人も作品に残している。「今頃は半七さん、」や「ととさんの名は、」とかじじぃの私の頭の片隅にも記憶の断片としても残っている。影響力は大きかったんじゃあるまいか。2018/09/21