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内容説明
何ものにも依らないユニークな「手摺なき思考」が注目されたアーレント。本書は、全体主義が勃興して消えて行った激動の現代史を考察し続けた彼女の思索の最深部に迫る一書である。哲学、政治、思想という三つの補助線を駆使しながら主要な各作品を詳細に読みとき、時代を超えて屹立する思考の全貌を把握する。悪の問題、世界疎外、経験と思考、……人間の現実を徹底して追究した問題群を、いま改めて問いなおす。
目次
序章 アーレントを論ずるために
第一章『アウグスティヌスの愛の概念』──哲学という源流
第二章『ラーエル・ファルンハーゲン』──ユダヤ人問題
第三章『全体主義の起原』──人間性への軽蔑
第四章『人間の条件』──政治哲学の伝統
第五章『革命について』──自由の設立
第六章『エルサレムのアイヒマン』──悪の凡庸さをめぐる考察
第七章『精神の生活』──他者とともに生きる
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
66
名前は気になるけれど、いきなり著作には当たる勇気がないので、本書を購読してみた。……うーん、やはり著作を併読しないとなんとも言えない。教育テレビで紹介されたり、手に入れやすい版もあるようなので、読んでみようかと思う。キーワードは、ユダヤ人、全体主義あたりなのかな。2019/06/15
榊原 香織
63
ハンナ・アーレント難しい。 ”人間の条件”とかとくに。解説でこれだから本物の著書は無理かなあ。 有名?な”エルサレムのアイヒマン”は読んでみたい2023/03/09
にいたけ
47
課題本の副読本として「人間の条件」の章を読む。難解な「人間の条件」をとてもわかりやすく解説している。アレントが「労働」「仕事」「活動」と分けた理由がよくわかった。彼女は「人間とは何か」を問うたのではなく「人間とは誰」を問うたというところがストンときた。「人間の条件」読む前に読むべき本。☺️2023/02/05
加納恭史
21
やっと気になっていたハンナ・アーレントの本が読める。最近はユーチューブの哲学チャンネルでも、優しい概要と解説を見ることができる。彼女の主著は「人間の条件」だが、それにも触れている。彼女の哲学は政治とリンクしと語られる。哲学的にはハイデカーやフッサールやヤスパースに影響を受けたようだ。古代のギリシャ哲学やスコラ神学にも影響を受けた。また、隣人愛の検討から、戦争と全体主義の考察など「反ユダヤ主義」、「フランス革命」、「アメリカ革命」にも及ぶ。大変に興味深い。ハンナ・アーレントは1906年でドイツ生まれ。2023/02/20
おおた
20
調子が悪かったのもあるけど、難しい!あくまで著書に寄り添って伝記的な内容は少なめ。その分、「労働<制作<活動」をはじめとしたアーレントの思想に肉薄する内容となっている。わたしにとってアーレントは哲学のものさしを現在の複雑な事象に持ち込むことに要点があるのだけど、抽象的な概念を理解しておくことが前提にあるから、読者としてはそこで「自分にとっての『活動』とは?」と行き詰まってしまいがち。自分の行いに哲学という錘を見つけられるかが難しさの元なのかも。2019/06/30




