出版社内容情報
初版刊行以降、在留外国人の増加、新型コロナウイルスの影響、戦争や災害による避難民の受け入れ、ジェンダーや性的マイノリティへの関心の高まりなど、日本社会を取り巻く状況は大きく変化してきた。これらの変化を受け、本書は「多文化共生」の最新の課題に対し各章の更新・追加をおこなった第2版となる。
学校・地域・職場・医療・法律・家族・言語・ジェンダーなどの領域から、現場で実践を重ねる専門家が事例をもとに分析し、社会的な不平等や偏見にどう向き合うか、支援のあり方を模索する。マイノリティを一括りにしない複合的な視座や、グローバル社会における多文化主義の現状にも目を向けた、多文化共生を理解し実践するための必読のテキストである。
【目次】
はじめに
第1章 多文化共生とは何か――コミュニティ心理学的視座から多様性を考える[加賀美常美代]
はじめに――問題の背景
1.地域住民とのコンフリクト
2.コンフリクトをどのように考えるか――葛藤解決方略の視点から
3.外国につながる子どもたちのアイデンティティと異文化受容態度
4.ことばの問題の解消に向けて――やさしい日本語
5.多文化共生とコミュニティ心理学
6.多様性を考える――今後の課題に向けて
第2章 日本の外国人の抱える諸問題――歴史的経緯から現在まで[出羽孝行]
はじめに
1.在日外国人の現況
2.在日外国人の歴史的展開
3.移民と難民
4.地域の外国人の暮らしと国際交流
5.日本社会の課題
第3章 中国帰国者の抱える問題――1世、2世、3世、4世に求められる支援とは[島崎美穂]
1.中国帰国者とは
2.中国残留孤児問題の解決に向けた国の取り組み
3.帰国者の受け入れ体制――3つのセンターとその支援体制
4.中国帰国者1世、2世、3世、4世の抱える問題と求められる支援
5.今後の課題とまとめ
第4章 地域社会と多文化共生――新宿の小学校事例を中心として[善元幸夫]
自分探しの子どもたち
1.問題の所在――多文化社会の中で生きる新宿・新大久保
2.子どもと新大久保――子どもたちはこれからの未来をどう生きていけばよいのであろうか!
3.日本語学級の取り組み・実践――日本語国際学級へ
4.2人の子ども――「韓国の子どもRとタイの子どもSの出会いの物語」
5.「日本語国際学級」と「普通学級」での授業
結び――実践現場を踏まえた現状、当事者意識の理解と問題解決
第5章 外国につながる子どもたちの困難・支援・対処行動[岡村佳代]
はじめに
1.外国につながる子どもたちと日本の学校
2.外国につながる子どもへのサポート
3.外国につながる子どもの困難対処
まとめと今後の課題
第6章 地域日本語教育とコーディネーターの重要性――共生社会の構築へ向けて[野山広]
はじめに
1.「地域日本語教育」という概
目次
第1章 多文化共生とは何か―コミュニティ心理学的視座から多様性を考える
第2章 日本の外国人の抱える諸問題―歴史的経緯から現在まで
第3章 中国帰国者の抱える問題―1世、2世、3世、4世に求められる支援とは
第4章 地域社会と多文化共生―新宿の小学校事例を中心として
第5章 外国につながる子どもたちの困難・支援・対処行動
第6章 地域日本語教育とコーディネーターの重要性―共生社会の構築へ向けて
第7章 国際結婚家族で母語を身につけるバイリンガル―社会言語学と言語発達の視点から捉える
第8章 国際結婚の解消―身近な法律問題
第9章 障害者と多文化共生―一人ひとりへの合理的配慮
第10章 性の多様性とこころの支援
第11章 外国人へのこころの支援―精神科医の観点から
第12章 職場と多様な在留資格の外国人就労者
第13章 大学コミュニティにおける多文化共生
第14章 海外の日本人駐在家族と移動する子どもたち
第15章 韓国に移住する家族とその子どもたち
著者等紹介
加賀美常美代[カガミトミヨ]
山梨県生まれ。東北大学大学院文学研究科博士後期課程修了。文学博士(心理学)。三重大学専任講師、お茶の水女子大学基幹研究院教授、目白大学心理学部教授を経てお茶の水女子大学名誉教授。お茶の水女子大学附属中学校元校長(2015~2018年度)。異文化間教育学会元理事長(2013~2016年度)、日本学術会議連携会員(24期~25期)、現在、異文化間教育学会理事、多文化間精神医学会評議員。専門は異文化間心理学、コミュニティ心理学、異文化間教育学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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