新潮文庫<br> 伯爵夫人(新潮文庫)

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新潮文庫
伯爵夫人(新潮文庫)

  • 著者名:蓮實重彦【著】
  • 価格 ¥506(本体¥460)
  • 新潮社(2019/06発売)
  • ポイント 4pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784101003917

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内容説明

ばふりばふりとまわる回転扉の向こう、帝大受験を控えた二朗の前に現れた和装の女。「金玉潰し」の凄技で男を懲らしめるという妖艶な〈伯爵夫人〉が、二朗に授けた性と闘争の手ほどきとは。ボブヘアーの従妹・蓬子(よもぎこ)や魅惑的な女たちも従え、戦時下の帝都に虚実周到に張り巡らされた物語が蠢く。東大総長も務めた文芸批評の大家が80歳で突如発表し、読書界を騒然とさせた三島由紀夫賞受賞作。(解説・筒井康隆 黒田夏子 瀬川昌久)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

400
3年前にハードカヴァーが上梓された時には随分評判になったが、早くも文庫化された。しかも、3人もの解説がつくという異例のもの。私の知る限りでは前代未聞だ。さすがは蓮實先生というべきか。物語は、日本が太平洋戦争に突入する前日から当日までの一昼夜の幻想を描く。表題の伯爵夫人は、こうした名で呼ばれるものの、実態は大陸と日本にまたがる娼婦のようだ。また、その対極に位置する蓬子は処女性を体現する。全篇にわたって卑語が頻出するが、それは作家の韜晦と幻惑の一種だろう。ここに現出する無意味な空間こそがまさに小説なのだろう。2019/03/15

bunmei

112
著者は、何とお歳が80歳で、元東京大学総長を務めたフランス文学の大家と聞いてびっくり!というのも、このエロスに満ちた文章表現にあり、いつしか読者を、未知のエクスタシーへいざないます。本作は今まさに、世界大戦へと導かれる混沌とした時代の中で、セピア色した昭和ロマンのエロスが、生々しく描かれ、読む人に迫ってきます。あまりにも直接的なその性描写が、現代においては逆に新鮮で、且つ、斬新な文学的要素を醸し出しています。但し、文章や言葉がやや難解で、スマホの辞書を片手に、調べながら読み進めました。  2020/02/05

HANA

60
東大総長がエロティックな小説を書いた。というセンセーショナリズムで売り出された時点で、自分の心の中の棚ではタレント本と同じ場所に置かれていたんだけど、文庫化を機に読んでみてその感覚に間違いがないのを確認。戦前の華族界というと饐えた豪奢さをどうしても期待してしまうのだが、本書ではからっと明るい性の謳歌ばかりで斯様な鬱金色の暗さやエロティシズム特有の黒さとかは感じられず。女性の性の遍歴というのもO譲や眼球譚と比べてしまうと…。内容や話題作りも含めて、良くも悪くも現在の日本文学を端的に表してしまった本だと思う。2019/01/18

優希

56
まさに戦時下の帝都物語という感じです。性と闘争の手ほどきが艶やかさを演出していました。2022/02/27

らぱん

53
三人のあとがきを読みたくて文庫で再読したが、その内容にはさほど惹かれなかった。やはり本文が面白い。初読時には艶笑譚として愉しんだのだが、ゆっくり読んでみると反復や入れ子など構造や技巧の凝りようが目に付く。衒学趣味は鼻につかない。馬鹿馬鹿しさはあるが、馬鹿にされていると感じないのはこちらが馬鹿だからか、相手が一枚も二枚も上だからか、それを老獪と言うのかもしれない。年寄りが好きで(その意味であとがきも面白かったが)偏屈な糞爺に愛情を感じるので、自分の年寄像の参考になった。ほかの評論などの著作を読んでみたい。2019/12/12

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