内容説明
兵部の君こと源基子は、東宮・尊仁親王の第一王女に仕える女房。ある日乳姉妹の中納言の君から「京極殿(右大臣藤原師実)の子を授かった」との手紙が届く。乱れた世相の中、東宮御所には怪物・鵺が現れ、妊娠した中納言の君はやつれ果て、兵部も御所に「穢れ」を持ち込む。事態は人智を超えて錯綜し、愛憎の糸は複雑に絡み合う。時代を超えて紡ぎ出される平安デウス・エクス・マキナ劇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
真理そら
57
章立て、文体などに平安時代っぽさがあって楽しい。摂関政治が衰退する後三条の時代を中心に描かれている。『望みしは何ぞ(永井路子)』と重なる面も多いが鵺や陰陽師も登場してファンタジーっぽい作品になっている。尊仁(後の後三条)の長女に仕える兵部(ヒロイン)が冒頭で縁遠い自分について悶々としているのがリアルだ。この兵部(基子)も実在するし経歴も史実通り。2022/08/20
りー
30
皇女腹として生まれ、摂関家を遠ざけ、大江匡房を登用して荘園制度に大鉈をふるった、院政の産みの親にして白川帝の父…後三条帝。と、その女御基子の恋物語。恋になるのはほぼラストシーン。鵺やら物怪やら陰陽師やらと、ファンタジー要素もありつつ、ラノベの文体ではないのが面白い。いや、内容は充分ラノベなんですけど。時代を上手く生かして書いてくれたなぁ~♪と楽しみました。しかし、この表紙イラスト、ヒロインとヒーローだとは思えないでしょうに(^_^;)。黄櫨染だからあぁ…って思いますが、濃すぎるよ、顔が!!2022/10/10
葉つき みかん
2
一気に読んでしまった!最後の大立ち回りにはびっくりしたが、それ以外はリアリティがあって物語に入り込めた。花山院流の発生が…!師実を主人公にしたスピンオフが読みたいな!2020/12/19