内容説明
医師は患者が知らない世界を知っていて、患者は医師が見えない世界が見えている。絶望の中で生きることを一緒に考えてくれたのは、緩和ケアの医療者だった。――写真家・幡野広志推薦 この本は、がんという病を抱えてどう生きていくのかについて考える本だ。しかし著者は、がんを抱えて、自分らしく生きたいと願うなら、医師に頼るべきではないと言う。何が、あなたの生きる力を高め、そして逆に奪っていくのか――。本書に散らばった、たくさんの言葉とその背景にある物語が、そのことを明らかにしていく。抗がん剤の専門家、そして緩和ケアの専門家として、年間4000件の生と死を見つめてきた医師が試みる魂の伴走の物語。患者たちが医師に遺した「言葉」と「物語」から読み解く、がんを抱えて、自分らしく生きるための要諦がここにある。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
shizuka_電気うさぎ
13
「自分らしい生き方」がなんなのか、それはかなり深刻なシチュエーションにならないとわからないだろう。でも自分が楽しいこと、好きなこと、心浮き立つ瞬間を大切に日々を過ごすことで、いざという時の羅針盤になるかもしれない。先日読んだヤンデル先生こと市原真医師の『どこからが病気なの?』と共通するメッセージは、「ひとりで闘わない」。共に歩んでくれる医療者や社会のサポートは心強い味方だ。2020/03/08
okatake
3
「がんを抱えて、自分らしく生きたいと願うなら、医師に頼るべきではない。」で始まる著作。 緩和ケア医として長い経験を持つ著者。全9章とエピローグで関わった患者さんからもらった10の言葉に基づいて構成されています。読者に「あなたならどうしますか。どう生きていきたいですか。」を問いかけています。 もちろん、がんを抱えていなくても自分らしく生きることを考えるきっかけになることでしょう。2020/01/16
まぶ
2
僕はがんの患者さんを診ることはない。けれど人の弱っていく過程や死に接する点では変わりがない。最近頓に思うのは最期の時間の過ごし方がその生を輝かせるということ。今の日本では皆が希望するような突然死なんてなかなか出来ない。弱る過程で社会的資源が不十分で自宅に帰れないことも多々ある。自分らしく希望通りに生きていたいといっても認知症であったりする。それでもまずは患者に寄り添うということ、患者の主体性を引き出すことの大事さを改めて思い出させてくれる。2019/09/28
つっきー
2
今すぐというわけではないけれど、後日また再読することになると思う。2019/07/23
ジャスミン
1
安楽死を考えると鎮静についても知りたいと。西先生のような医師がいれば、安心して最後を迎えられると思い、少し気が楽になる。 私もうまく死ねるよう頼まねば。2019/07/24