内容説明
突然の失明。しかしなお、闘病に仕事に趣味にと新たな挑戦の日々。初代民博館長・梅棹忠夫の凄絶なる生き方を見よ!老年の域に達して、学問・研究のしめくくりをつけなければならない大事な時期に、突然の視力障害におちいった筆者。くる日もくる日も夜がつづく。目が見えないのではどうしようもない。何かよい方法はないものか。闘病・リハビリ、さまざまな試みを経て、新たなる知的生産に立ち向かう、元民博館長の感動の名エッセイ。「そのうちにわたしはどういうわけか、著作集をやろうという気になった。それは病院のベッドのうえでのことだった。なぜこういう気になったのか、よくはわからない。なにかしら、やろうとおもい、やれるとおもった。目がみえないままでも、この仕事はやれるのではないかとおもった。それにはもちろん、たくさんの友人たちのたすけにたよらなければならないが、みんなにたのんでみよう。わたしは決心した。」(本文より)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ころこ
9
新しい本に買い替えて再読です。岩波新書の有名な本でお馴染みの梅棹さんが、盲目になられた経緯を著したエッセイです。何等専門的な話は出てきませんので気軽に読めます。再読で同じことを考えました。いったい、自分が盲目になったらどうするだとうかと。それまでの蓄積があると、盲目でも知的生産は可能だと言うことは簡単ですが、果たしてそうなのか。当然、本書にはうつ病や自殺の行が出てきますので、やはり自殺しないのだとすると、知的活動をして生きていかざるを得ないということで、気安く克服したと称賛するのは気が引けます。2017/03/05
ゆっき~
8
インテリジェンスという言葉を体現したような人。尊敬する学者のひとりであり、教育者のひとり。大阪の国立民族学博物館(みんぱく)の初代館長さんですが、目が見えなくなってからも7年も館長職を勤め上げたなんて本当に驚きです。本書はエッセイ集ですが、どんな状況になっても好奇心と希望を持ち続ける姿勢に勇気をいただきました。この人の本を読むといつもむねが熱くなる!2013/07/13
エドバーグ
3
千里の国立民族博物館をお久しぶりに見学。触発されてこれまたお久しぶりに梅棹本を読みました。一文一文が短く、非常にわかりやすい かつ, かざらない語り口は誰にも真似できないと思いました。2017/01/25
かりん
3
5:追悼第2弾(今後はペース戻します…読むだけでなく行動しなきゃね)。失明のことを綴ったエッセイ。これまで読んだ著作より感情入ってます。知的生産への飽くなき思いがひしひしと。医師と宗教家。わたしの生きてきた66年は、いったいなんであったのか。そのあいだに、いささかの蓄積をおこなった。わたしの精神は、貪欲すぎるのかもしれない。このうえになお、経験の蓄積を限りなくつづけてゆきたいのだ。「あなたは目が見えるようになったら、また猛烈にいそがしくなって、けっきょくは著作集はできないでしょう。むしろ、やるならいまだ」2010/07/09
韓信
2
還暦を過ぎ、自己の学問・研究を総括しようという段階で突然、球後視神経炎による視力障害に陥った著者の、闘病生活、不安との葛藤、薄明の世界を生きる困難と慣れ、公務や口述筆記による著作など旺盛な仕事ぶりを綴る闘病記。健康上の問題は医師がカバーしてくれるが、不安など心の問題は宗教家にすがるべきだったという著者の実感は、奇しくも未開社会の巫覡が両者を兼ねることの合理性を証してくれるようだ。妻や民博職員らの助けもあり、ほぼ失明状態でも月一ペースで本を出し、「月刊うめさお」と呼ばれた著者の精力的な活動もすごい。2019/09/05
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