内容説明
普通じゃない事件と捜査――あなたはこのトリックを、見抜けるか?
ある怪事件と同時に国家機密ファイルも消えた。唯一の手掛かりは、事件当夜、現場で目撃された一人の大学生・戻橋トウヤだけ――。
内閣情報調査室に極秘裏に設置された「特務捜査」部門、通称CIRO-S(サイロス)。「普通ではありえない事件」を扱うここに配属された新米捜査官・雙ヶ岡珠子は、目撃者トウヤの協力により、二人で事件とファイルの捜査にあたることに。
珠子の心配をよそに、命知らずなトウヤは、誰も予想しえないやり方で、次々と事件の核心に迫っていくが……。
「才能が光る。浮世離れしたキャラクター造形。意表を突く場面展開。僕たちの会社が制作した『SPEC』のように映像化もありえるか?」神康幸(映像プロデューサー/電撃小説大賞最終選考委員)、「僕たちは何かを賭けて生きている。読み終えた後、この物語にもっと賭けたくなりました」佐野徹夜(作家)――大推薦の声、続々! 応募総数4843作品から激賞、第25回電撃小説大賞《メディアワークス文庫賞》に輝いた、注目のサスペンス・ミステリ誕生。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
海猫
86
ギャンブルものかと思えば、異能バトルの要素もあって意表を突かれた。この2つの趣向が入っているとなればハードルの高いものを期待してしまう。もっとハラハラさせてほしくもあるが、期待値を上げすぎて考えるからで、内容は十分に面白い。主人公・戻橋トウヤが飄々としていながら、突飛な言動行動をする壊れたようなキャラで引っ張られる。全編、駆け引きの場面が多く、展開が読めないので、ページを繰ってしまう。真面目に付き合わされる雙ヶ岡珠子とのコンビも可笑しい。本が短めなのもコンパクトなまとまりを感じる。次巻出るようなので期待。2019/10/21
スズ
61
異能犯罪組織が狙う国家機密級のファイルの重要な手がかりを手にしてしまった大学生のトウヤと、異能犯罪を取り締まる特務部署CIROーSの新人捜査官の珠子が紡ぐ異能サスペンス物語。異常なスリル中毒者であるトウヤに振り回される珠子が不憫でしたが、犯罪者相手の大立ち回りや囮役等、自分にしか出来ない守る為の力を振るう彼女が彼と正真正銘のバディになった瞬間が好きです。正義と悪が容易に、無慈悲に、唐突に反転し、誰を信じれば良いのか分からない恐怖に縛られた人間の苦しみが色濃く描かれており、己の意思を貫いた珠子のラストも良い2019/06/30
ami*15
50
生と死のギリギリを彷徨っているような危険な匂いがした物語。強敵相手に自身の命を賭けるトウヤにはハラハラし、緊迫した空気が漂う物語の中でちらほらと見られたトウヤに翻弄される珠子にはなんだかほっこりした。物語の鍵となる「能力(ギフト)」と呼ばれる奇妙な力。敵の能力を攻略し、賭けを制していくトウヤには爽快感しか感じない。またトウヤの奇行に振り回されながら自らが望んでいた本当の「正義」について珠子が気付いていく過程も彼女の成長ぶりが感じられた良き要素かと。この作品の今後に私も賭けてみたいです。2019/06/05
坂城 弥生
47
破滅的な思考を持った狂気と空虚が同居しているのが魅力的だった。シリーズになっているようなので追いたいと思う。2021/02/18
よっち
46
ある怪事件と同時に消えた国家機密ファイル。事件当夜現場で目撃された大学生・戻橋トウヤと「特務捜査」部門CIRO-Sに配属された新米捜査官・雙ヶ岡珠子が二人で協力して事件とファイルの捜査にあたるサスペンスミステリ。示唆される特殊能力の存在と、自らを賭けることを厭わない危ういトウヤの狂気、彼を放っておけず一緒に捜査する珠子。特殊能力を持つ相手に大胆な駆け引きで勝負を挑み続けるトウヤと、正義感の強い珠子がなかなかいい感じのコンビで、彼らが挑むヒリヒリするような勝負の先にあった意外な結末がまた印象的な物語でした。2019/06/21