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内容説明
新1万円札の肖像画に選ばれた、「日本資本主義の育ての親」渋沢栄一。幕末から明治、大正、昭和へと至る91年の激動の生涯を、博覧強記の才人・鹿島茂が描いた傑作評伝、ついに電子書籍化!
近代日本の「資本主義」をつくりだした渋沢栄一。彼がその経済思想を学んだのは、「産業皇帝」ことナポレオン3世の統べる19世紀フランスからだった。豪農の家に生まれ、尊皇攘夷に燃えた彼は、一転、武士として徳川慶喜に仕えることになり、パリ万博へと派遣される。かの地で渋沢に影響を与えたのが、産業を拡大することで労働者の福利厚生を充実させるという「サン=シモン主義」の思想だった。帰国後、維新政府に迎えられるが、日本に資本主義を興すため、民間人として生きることを選ぶ……波瀾万丈の評伝、その上巻・算盤篇。
「近代日本は、世界に類を見ないほどの幸運に恵まれていたといえる。なんのことかというと、日本の資本主義は、この「損して得取れ」という思想をバトル・ロワイヤルが行われる以前にすでに体得し、血肉化していた渋沢栄一という例外的な人物によって領導され、実に効率よく高度資本主義の段階に入ることができたからである」
(本文より)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
榊原 香織
78
なんでフランス文学者が書いてるのか以前から不思議だったのだけど(よく歴史番組に出てるし)。 日本資本主義の父、渋沢はフランスでサン・シモン主義に出会ってるんですね。 エートス、コンセイエ・デタ、等、フランス文学者らしい言葉遣いに戸惑う。 小説じゃなく評伝。 次、下巻へ2021/06/29
ちびbookworm
66
★3.5-4.自著や小説「雄気堂々」では描き切れなかった、フランス、明治時代の渋沢像に迫る、中級評伝。◆上巻は、「フランス時代の渋沢とその背景に迫った渋沢論。いかにして、近代資本主義の原理を習得でき、日本の金融と基幹企業の基礎を築けたのか?多くの渋沢論に欠けている考察を著者が追う評論集だ。◆「なぜ大蔵省をやめ、民間へ下ったのか?」渋沢の真の志にも迫っている◆かんぽの不適切販売や、不正会計、横領、嘘の品質保証など今の企業の保身や暴利を貪る姿と、本書の渋沢の誠実な姿とを見比べ、襟を正すヒントにしたい。2021/12/28
Book & Travel
41
仏文学者の鹿島氏による渋沢栄一の評伝ということで、意外な感じに惹かれ手に取った。上巻だけでもかなり長いが、読みやすくとても面白い。渋沢が日本で資本主義の基礎を築けたのは、フランスでサン=シモン主義と出会ったためと著者は述べる。話が渋沢から離れ、サン=シモン主義の歴史やナポレオン三世時代の産業政策が詳しく語られるのは著者ならではだろうが、ちょうど最近フランス史の本を読んだこともあり、興味深い所だった。西郷、大隈、岩崎弥太郎らとの関係や、王子製紙、日本郵船など後の大企業の創業の話も読み応えがあった。2021/05/19
さきん
24
サンシモン主義がフランスの近代化を助ける思想で、渋沢栄一に影響を与えたという見方を初めて知った。株式会社という考え方自体はオランダの東インド会社や日本の株式取引に事例があったが、サンシモン主義では、社債の値段が安く分けられていて、ちょっとした資産家も参加できるようなっていた。そして集めたお金を鉄道敷設や重工業への投資に活用、ベンチャーキャピタルのようなことをおこなっていた。それを政治的に支えていたのが、ナポレオン三世の親政だった。2020/07/26
harass
22
フランス文学者である著者がなぜこの人物の評伝を書いているかと古本屋で手にとった。渋沢栄一が『日本資本主義の父』と言われるのは佐野眞一の本などで知ってはいるが、具体的に何をしたのか、なぜ彼がこのような業績を残すことになったのかを、この人物の生い立ちや時代背景も含めて、明快な文章で綴っていて実に読みやすい。少し冗長と感じるところもあるが文章が小気味良く語りかけるようで、この著者の講義や講演を一度は聞いてみたいと感じた。一気に上巻を読み終えたが、下巻をどこで見つけるか……2014/02/19
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