内容説明
毎日が真剣勝負のジブリ戦記! 公開延期、スタッフの取り合い、我慢比べ、膨れ上がる予算、クーデター計画、引退宣言……。
『ナウシカ』 高畑プロデューサー曰く「間に合わないものは仕方がない」
『ラピュタ』 「もう監督はやらない」からの再出発
『トトロ』 はじめは原作脚本・宮崎、監督・高畑だった
『火垂るの墓』 未完成のままの公開
『紅の豚』『ぽんぽこ』 「俺が豚をやったんだから、高畑さんは狸だ」
『もののけ姫』 「エボシ御前は殺すべきじゃないですか」
『山田君』 「おもしろすぎるエピソードは外しましょう」
『千と千尋』 壁一面のイメージボードを捨てた日
ジブリの名作はこうして作られた! 『風の谷のナウシカ』から『となりの山田くん』、『風立ちぬ』まで。二人の天才を最も間近で支え続けたプロデューサーがついに語ったジブリ19作品の内幕。誰よりも互いを認め合った二人の生々しい激闘、強烈過ぎる個性、創作の秘密が惜しみなく明かされる。
最初で最後 高畑、宮崎、鈴木の特別鼎談収録
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぐうぐう
45
ジブリ史を高畑勲と宮崎駿、二人の監督の創作過程を柱に鈴木敏夫の視点から語る。まるでタイプの違う二人の監督が、ライバル心や、あるいは屈折した愛情ゆえ、相手を挑発しながら、自身の作品作りに生かしていく。そんな丁々発止のやりとりを、まるで漫談家のような鈴木のユーモア溢れる語りが大いに盛り上げる。個性的過ぎる高畑と宮崎がいて、なのにジブリが空中分解しなかったのは、ひとえに鈴木の存在があったからだ。プロデューサーとしての鈴木の才能は生半可なものではない。(つづく)2019/06/09
akihiko810/アカウント移行中
37
ジブリの鈴木Pによる、スタジオジブリ社史。印象度A+ 「天才の思考」と言うタイトルから、宮崎・高畑のふたりを語る本かと思っていたのだが、どちらかというとジブリ社史、ジブリ作品の制作秘話であった。が、滅法面白かった。いかに映画は宣伝と配給に労力かけないとヒットしない、とか、「風立ちぬ」は大ヒットしたにもかかわらず回収ライン越してないとか。一番大変だろうと思ったのは、高畑勲の扱い。「全然働かないけど、作品至上主義者」であり、金かかる、納期を絶対守らない、とP泣かせの人であった。いや、知ってたけど、2023/03/14
ばんだねいっぺい
34
ジブリの作品ごとに振り返る回想記。知ってのとおり、天才とは、高畑・宮崎両監督並びに著者の鈴木さんのこと。鉄火場というか、命がけで仕事に臨む生き方をしたい人たちが、それこそ火花を散らして作品へ結実させてくれてたんだよなぁと嘆息した。読みごたえ充分すぎるほど充分。2019/08/17
Isamash
29
ジブリ代表取締役プロデューサー鈴木敏夫2019年発行の著作。高畑勲と宮崎駿の映画作りの実態と鈴木の作品への関与が語られてる。ナウシカの音楽を久石譲にしたのは高畑勲だった、トトロは当初1人の女の子だったが併映予定だった「火垂るの墓」への対抗意識で時間を延ばしたくて姉妹にしたらしい。千と千尋は鈴木のキャバクラでの引っ込み思案の女の子の成長話がヒントになったとか。映画プロデューサーの仕事を知らなかったが映画ストーリーまで関与してたことを初めて知った。また完璧主義者高畑勲の作品は殆ど見ておらず是非見たいと思った。2022/12/24
ally
29
「ジブリ」誕生からその後日本を代表するアニメーション会社になるまで、制作の舞台裏をプロデューサーの鈴木さんがまとめたもの。ただただ「天才」たちの思考に圧倒される。宮崎駿さんの激しくも温かい人柄もすごくいい。一方、天才たちの陰でたくさんの人が身も心も削って働いていて、それを思うとちょっと苦しくなる。もちろんご本人たちも魂を削っているのだけれど。この本を読んで一番の天才は鈴木さんなんだなと感じる。どんな人にも対応できる能力に、人を正確に見抜く力。これはもう、後付けで身につけられるものではないと思う。2022/11/01