内容説明
武田、北条、佐々……仕えた家が軒並み絶家!
厄神と呼ばれた男・御宿勘兵衛の生涯。
武田の遺臣として、数多の主家を渡り歩いた御宿勘兵衛(みしゅくかんべえ)は、何を求めて大坂城へ入ったのか?
武田家滅亡から、大坂の陣まで――仕えた家が次々と滅びることから、その武勇に反して「厄神」と忌み嫌われた御宿勘兵衛。
そして、時代に迎合することなく己の夢と覚悟を貫いた依田信蕃や久世但馬など、勘兵衛と関わった度し難い男たち。
「天正壬午の乱」「さらさら越え」「小田原征伐」「越前騒動」「大坂の陣」など勝者の側ではなく滅び行く者たちからみた戦を描く。
気鋭の著者が腕をふるった、時代に選ばれなかった曲者たちの物語。
解説・縄田一男
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんごろ
167
武田家の遺臣として数多く主家を渡り歩いた御宿勘兵衛の話。とにかく仕えた家が次々と滅ぶ。“厄神”の異名で忌み嫌われた男ではあるが、武田家滅亡から大坂夏の陣まで生きてたのだから、ある意味すごい男かも。勘兵衛に関わった男達も信念を持ち格好いい。無謀に挑み、意地のために戦う姿は、水滸伝の梁山泊の豪傑達を見ているようだった。決して名の通った男達ではないけど、間違いなくくせものと思わせる男達の熱い話に、しばらく興奮冷めやらなかったです。【読メ読んだ本 通算600冊目】2020/02/11
岡本
98
武田家遺臣・御宿勘兵衛と彼に関わった曲者達の物語。仕えた家が次々と滅びる事から「厄神」と忌み嫌われた男を中心に武田家滅亡から大阪夏の陣まで。主人公を含め知名度の低い武将たちが多く登場する本作。有名な大名に仕える武将の生き様を感じる事ができる。佐々成政が格好良い。2020/01/10
みこ
23
武田家滅亡後、諸国を放浪し大坂夏の陣で討ち死にした御宿勘兵衛を主人公とした小説。とはいえ途中まで勘兵衛は狂言回しの役回りで、彼自身が主人公となるのは最終章である。昨年のマイ・ベスト・ノベル「殿さま狸」の著者だけに否応にも期待値をあげて読んだのだが、本作も同じくらい面白かった。それまでに関わった人たちが4章、5章で勘兵衛の人生のラストを彩る様は圧巻である。読み切ったときに激しく胸を揺さぶられる思いだった。むしろ、結城秀康との関りなどもっと話を膨らませてこの作品世界を味わいたい思いであった。2019/07/18
ハッチ
15
★★★★★戦国時代から江戸幕府初期までの短編集。御宿勘兵衛を通しての話しだが、たくさん名前の知らない武将が出てくる。実際いた人物らしい。こういう人物もいたんだと新しい発見があった。2019/10/29
YONDA
13
厄神と呼ばれた御宿勘兵衛。数多の武将と行動し、大阪の陣にて死に花を咲かす。越前宰相の下での同士、本多富正・野本右近の勘兵衛に対しての思いが熱い。2021/01/16