- ホーム
- > 電子書籍
- > 教養文庫・新書・選書
内容説明
我々がこの世界で何をなし、何を受け取るかは、「運」というものに大きく左右されている。しかし、あるべき行為や人生をめぐって議論が交わされるとき、なぜかこの「運」という要素は無視されがちだ。特にその傾向は、道徳や倫理について学問的な探究を行う倫理学に顕著である。それはいったいなぜだろうか。本書では、運が主に倫理学の歴史のなかでどう扱われ、どのように肯定や否定をされてきたのか、古代ギリシアから現代に至る人々の思索の軌跡を追う。そしてその先に、人間のあるがままの生をとらえる道筋を探る。
目次
第I部 「運」の意味を探る
第1章 現代における「運」
第2章 古代ギリシアの文学作品における「運」
第II部 「運」をめぐる倫理学史――古代から近代までの一断面
第3章 徳と幸福の一致を求めて――アリストテレス以前
第4章 アリストテレス
第5章 ストア派
第6章 後世へのストア派の影響――デカルトの場合
第7章 アダム・スミス
第8章 運に抗して――現代の手前まで カントとヘーゲル
第III部 道徳と実存――現代の問題圏
第9章 道徳的運――トマス・ネーゲル
第10章 倫理的運――バーナード・ウィリアムズ