中公文庫<br> 活きる

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中公文庫
活きる

  • ISBN:9784122066861

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内容説明

生と死、愛と別れ、幸福と苦痛、時間の神秘――。四十数年の時を経た今、老人が朗々と民謡を歌い、自らの過去を語る。激動の中国を生き続けた、ある家族の物語。長篇小説『活きる』は、中国著名作家・余華の代表作で、中国および諸外国で広く読まれ、好評を得ている。チャン・イーモウ監督による映画版はカンヌ国際映画祭で審査員特別賞を獲得。一時的な流行に終わる小説ではなく、いまもなお読み継がれ、今後も中国文学史・世界文学史に残っていくであろう名作である。本国一千万部超のベストセラー、40カ国で翻訳出版。 解説・中島京子

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヘラジカ

56
簡潔で無駄のない言葉、情感をあまり込めすぎない流麗な語りには、実際に福貴を目の前にして話を聞いているかのような迫真力がある。飾らない素朴さで綴っているからこそ、愛と苦しみに満ちた人生が瑞々しく映るのだ。さらさらと流れるように読んでいたのに、気付いたときには読み続けるのが怖いくらいに浸かり込んでいた。つまるところこの作品は「活きる」とは何か、この簡単な言葉にどれだけ多くの意味が詰め込まれいるかを示そうとしたに違いない。「生きるのよ」短い台詞ひとつに、あそこまで重みがある作品がどれだけ存在するだろうか。名作。2019/02/09

おさむ

38
張芸謀監督の映画の中で最も好きな作品「活きる」の原作本。文庫化されたのを機に購入して、久しぶりに読んだ。中国の庶民が共産革命や文革などの時代の波に大きく翻弄される。ほんとうにあっけなく家族が亡くなっていく展開には驚くが、それでも逞しく生きていく主人公。この大地に根ざした雑草のような強さ。これこそが中国人の強さなんだろうと思う。解説で「突き抜けた明るさ」と評していたのに思わず首肯しました。これからも読み継がれてほしい中国の文学作品である。2019/02/21

鈴木拓

23
過去を振り返るとき、理不尽な死を嘆くのか、それまでの幸せな時間を回想するのかによって、思い出のあり方は大きく変わるように思います。 中国の農村で強かに生きる主人公の姿からも、それを語る老人の姿からも、不幸ではなく、人の温かさを感じました。 良作です。2019/02/28

いの

21
血と涙に濡れた匂いの土は生きる人々の「活」の匂いでした。私がこの本を読むきっかけとなったのは「血を売る男」という小説です。どちらも共に傑作です。本の内容はとても悲しく私は幾度も目の前の文字が追えなくなりました。回想物語ともいえますがそれは今にも繋がっています。ずっと続いているこの物語の中で、立っているその足が大切なのだと筆者は言っていると思いました。少年と老人互いの価値観の中に生まれる相互作用は決して負の連鎖とならずむしろ温かいものです。人との関わりで大事なものはこれだったのか、と考える事のできる本です。2019/06/20

sasara

15
資産家の息子から転落し中国共産党の大躍進政策、文化大革命の混乱。貧困に喘ぎ家族を次々に失いながらも なぜ生きるのかを問います。チャンイーモウ監督映画もいつか観てみたいです。2023/10/16

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