中公新書ラクレ<br> 観光亡国論

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中公新書ラクレ
観光亡国論

  • ISBN:9784121506504

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内容説明

右肩上がりで増加する訪日外国人観光客。京都、富士山をはじめとする観光地へキャパシティを越えた観光客が殺到し、交通や景観、住環境などでトラブルが続発する状況を前に、東洋文化研究家アレックス・カー氏は「かつての工業公害と同じだ」と警鐘を鳴らす。本書はその危機感を起点に世界の事例を盛り込み、ジャーナリスト・清野由美氏とともに建設的な解決策を検討する一冊。真の観光立国を果たすべく、目の前の「観光公害」を克服せよ!

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

rico

55
京都好きの知人が「京都がどんどん汚くなってる」と嘆いていた。例えば古い建物を壊してピカピカのホテルが建つ、老舗が消える・・・。ビジネス原理だけに任せていると、街の魅力を形づくるものが消え、住めない街になっていく。まるで金の卵を産む鶏の大量殺戮。確かに長期的な視点で地域のの資産を生かすため、著者が言うところの適切なコントロールは必要。ただある種の「不便」を強いるには住民も含めた丁寧な合意形成が不可欠だけど、日本ではそこがないがしろになってる気がする。外国人観光客が今の倍になったら、どうなってしまうんだろう。2019/04/12

1959のコールマン

43
☆4。タイトル詐欺。「観光興国論」がふさわしいだろう。アレックス・カー氏自体が日本の観光立国に大賛成なのだから(「観光は日本を救う一大産業」p213)。観光の負の部分だけでなく正の部分をクローズアップし、こうすればいい、ああすればいいと提案をしている。まあ、それはいいのだが、やはり急速なSNSの拡大による「観光」自体の変化、もしくは観光地における普通の生活人へのプライバシー侵害なども取り上げてほしかった。このまま観光産業が拡大したら、世界まるごと全部観光地、になったりして・・・いやだなあ、それ。2019/12/25

Nobuko Hashimoto

38
キャパシティを越えて観光客が殺到し、地域の生活の質を低下させるに至る状況をオーバーツーリズムと呼ぶ。「観光公害」という言葉も見られるようになった。日本の建築や景観の美醜を知り尽くしている本書の著者アレックス・カー氏は、日本が観光立国どころか「観光亡国」になりかねないと危機感を覚え、具体例を出して、どのような解決策があり得るかを示す。今月の書評@関西ウーマンで取り上げました。https://www.kansai-woman.net/Review.php?id=2016012019/11/01

ごへいもち

37
知らない分野だったせいかもしれないが示唆に富んでいると感じた。行政の中にこういうことをちゃんと理解している人がいて欲しい。ゼロドルツアー(中国の資本が激安ツアーを企画、タイに中国人を送り込み中国資本のホテル、店舗、バス会社に金を落とし中国だけが儲かるというしくみ)に喰われたりしないように2019/09/30

trazom

37
「観光亡国論」と言っても、私のようなアンチ・ツーリズムの立場と違って、著者は、課題に前向きに向き合う。宿泊の問題、オーバーキャパシティ対策、観光公害・看板公害などを指摘しながら、その解決策を模索する。「世界遺産」というレッテルに依存し、観光業によって文化が汚染される「ユネスコサイド」の現実を見て、観光と文化は両立しないのではと悲観する私にとっては、「適切な管理と制限」を施し、「クオリティ・ツーリズム」を目指すことによって、観光の健全性は確保できるという著者の主張は、楽観論のように思えてならないのだが…。2019/05/03

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