内容説明
1966年8月15日。根津謙治は、仲間たちと豪邸の前にトラックを止めた。戦後の混乱期に財を成した実業家から現金11億円を奪うためだ。その際、根津は不本意ながら一人の女性を射殺してしまう。それから14年。時効が近づいた頃、彼らの身の周りに新たな事件が続発する。首尾よく離散したはずの男たちの軌跡が再び交差する時、人間の業と事件の真相が明らかになる。昭和の時代と風俗を克明に描写した熱き犯罪小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ふじさん
84
金融会社社長の運転手の根津は、戦時中に疎開していた仲間3人と共謀し、根津の周到な計画の末に社長が政界へ流す裏金11億円を強奪する。事件への関与が疑われた根津は、アリバイ工作が功を奏し、逮捕されることもなく実業家として成功を収める。だが、時効直前に信頼していた部下の裏切りや警察の執念の捜査により、暴挙の真相が明らかになり、すべてを失うことになる。執念深い追手をかわし続けた謙治たちが、危機的な状況に追い込まれていく終盤は読み応え十分。戦後ノワールの巨編と呼ぶにふさわしい作品。ただ長い作品で読むのには苦労した。2024/05/10
T. Mu
9
戦前から戦後にかけて、時代と共に描かれた作品でした。小説なので、えっ?そんなことが?という部分はありますが、ホントに面白かった❗️最後は切ないですね…💦4.52023/11/13
東森久利斗
2
どっぷり感情移入、判官びいきな日本人根性丸出し、何とかしてあげたいけど、どうにもならない悶々した感覚、ドキドキな焦燥感への陶酔、読書エンドルフィンとドーパミンに溺れる心地よさ。著者渾身の圧倒的なストーリーテリング、ハードボイルドな味付けが絶妙、ノスタルジックな郷愁感ただよう極太の人間ドラマ。犯罪者という人間をとおして語られる戦後復興の足跡と人間の欲。スタンド・バイ・ミーな絆がやるせない。2025/10/27
はまちゃん
2
藤田宜永氏の倒叙ミステリ。金貸しから身を立て財を成した男 原島勇平のお抱え運転手 根津謙治が戦時中の疎開先で知り合った男たちと組んで11億円を強奪するところから話は始まる。犯罪に手を染め、強奪に成功し、警察やヤクザからの追及から逃れ、事業に成功し、家庭を持ちながらも、常に過去の犯罪の影に怯えながら人生を送っていかざるを得ない。どんな魅力的な人間であっても、悪事に手を染めたら、その報いを受ける、悪因悪果であろう。しかし、700ページを超える大作ながら、サクサク読ませるリーダビリティはさすが藤田宜永氏だなぁ。2019/07/30
ねぎまぐろ
1
★★★2025/10/07




