創元推理文庫<br> 背後の足音 下

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創元推理文庫
背後の足音 下

  • ISBN:9784488209131

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内容説明

長年いっしょに仕事をしてきた同僚の刑事が殺された。そのあまりに無惨な殺人現場に、ヴァランダーを始め、イースタ署の面々は言葉を失った。どうやら殺された刑事は、夏至前夜に消えた若者たちの事件を調べていたらしい。二つの事件は同一犯のしわざなのか?調べを進めるうちに、次第に明らかになる同僚の隠された素顔。自分はいったい、彼の何を知っていたのか。焦燥感がつのるなか、次の犠牲者が……。糖尿病からくる体の不調と闘いながら、ヴァランダーは事件の真相に迫る。現代社会の病巣を見事にえぐった、北欧の巨匠、マンケルの傑作。/解説=小山正

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ケイ

137
これ以上、仲間に死者が出たらとハラハラさせられた。惚れっぽいヴァランダーは、いつもの如く一方的に胸をキュンとさせ、その恋は始まらずに終わる。別れきれない人との思い出が沸き起こっては、胸を痛める。つまらないことに腹を立てるが、気がつけばやはり誰かが助けてくれる。愛おしいヴァランダー。そして、この小説では、女性達が活躍している国なのに、無理がない。そこがアメリカのミステリに出てくる女性達と違って読んでいて好きなところ。ヘニングマンケルの人柄によるところもあるだろう。細部のなんやかんやがとても素敵なミステリ。 2018/07/29

巨峰

102
本作の犯人の動機程恐ろしいものはないなあと。世の中の半数くらいの人が被害者になりそうです。笑顔で幸せに暮らしているおいらなんか、真っ先に殺されますぜ。ごちそうさまです。知らんけどw 第一作からのレギュラー、スヴェードベリー刑事の身に起こったことがショッキングだし、ヴァランダーが鑑識官ニーベリと捜査を通じて今迄の関係を超えた親密な関係を築くのが嬉しく思った。 それにしてもヴァランダー警部、忘れ物が酷すぎます。携帯を忘れて頻繁に連絡が取れなくなるし部下は大変だと思うー。残り少ないこのシリーズ大切に読みたいです2019/01/02

セウテス

91
【ヴァランダー警部】シリーズ第7弾、下巻。結婚式をあげたばかりの新婚さんたちが、その幸せを祝う最中に突然殺害される。遺族の喪失感や怒りは計り知れないものだが、そんな非人道的な犯行がサイコな奴とは限らなくなっている。新たに北欧でも自由主義における情報ばかりが直ぐに入り、格差社会が進み若者の中には夢を持てない者もいる。失業者は増える一方、利益優先で職場は人手不足で働く喜びを見出だせない。そんな社会の歪みが、人を狂気に走らせるのか、恐ろしい事だが哀しくて仕方がない。同じくひしひしと迫る変化を、感じる日々である。2022/06/15

KAZOO

85
後半に入ってもなかなか犯人がわからず、ヴァランダーは地道に捜査をしていきます。スウェーデンの地方の情景が目に浮かぶように描かれているように感じました。またヴァランダーを読んでいて刑事コロンボを思い出してしまいました。意外な犯人像は最近の状況を先取りしている気がしました。2015/06/19

ふう

77
物語の間中、ヴァランダー刑事はスウェーデンの変わっていく社会を憂い、自分は警察官を続けていけるのだろうかと悩んでいます。健康管理ができず、感情的で、食事に行くのに財布を忘れて…。と、そこまではまだいいのですが、肝心な場面で携帯電話を忘れてきたときには、本気で怒りたくなってしまいました。こんな疲れる主人公は珍しい。でも、そこも含めて、警察官という仕事は人間が人間の犯罪を追う仕事なのだと、改めて考えさせられました。最後の方の小島を訪ねる休暇。「スウェーデンはこういうところから始まった」という言葉もいいですね。2016/08/19

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