ちくま学芸文庫<br> 数学基礎論

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ちくま学芸文庫
数学基礎論

  • ISBN:9784480097637

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内容説明

数学基礎論──それは20世紀とともに始まった、新しい数学の分野である。その黎明期には、カントルやラッセルによって相次いで見出された集合論のパラドックス、そして、ゲーデルの不完全性定理など、数学の根幹を揺るがす発見が続いた。しかし数学基礎論は、決して数学の息の根を止めてしまったのではない。「ミレニアム懸賞問題」として知られるP=NP問題(P≠NP予想)やファジー論理、さらには人工知能との関わりなど、数学の最先端を切り開く分野でもあるのだ。日本を代表する数学基礎論の大家がその歴史、および現代的なトピックについて平易に解説した入門書。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

evifrei

16
数学基礎論の入門書的な一冊。放送大学の数学基礎論の講義に使われていた教科書を文庫版にしたものらしいが、初学者にも解りやすい記述の良書だ。本書をきっかけにファジー論理に興味が沸いた。(言葉では表現し難い魅力がある。)また、第9章の『自然数論に対する無矛盾性証明の必要性』は哲学書を読んでいる様な楽しさがあった。哲学好きな方は時間を忘れて読めるのではないだろうか。今まで一般向けの書籍として書かれた数学書や典型的な論理学以外では数学書は触れる頻度が少なかったので、これを機会として読める数学書の幅を拡げたいと思う。2020/03/09

オザマチ

14
今まで数学基礎論という学問自体の意義が全く分からなかったけど、最後の章を読むと数学に色々と新しい見方を与えてくれそうで、結構興味が深まった。2023/07/31

Z

8
集合論を、証明論、論理学のほうからアプローチした本の入門書を探していたら文庫本で発見し手にとる。説明が雑な部分と丁寧な部分がはっきりしており癖が強い。計算論(チューリングマシン)の解説とファジー論理についてざっくりとではあるが、簡単な解説が読めたのが良かった。解説で、解説者が著作の欠点をあげているという珍しい本であるが、数学書にあまり見られない、公理の存在理由を説明する等、丁寧な説明が部分部分に見られるので、今後わからなかったらこの本に戻ろうと思う。2017/05/11

6
多くの話題が冒頭で導入される集合論をベースに展開されている。基礎論黎明期の主要な話題と問題意識をつまみ食いするなら今でも問題なく使えると思うが、本書自体はやはり古いので他書でのカバーは必須である。議論の厳密性に拘泥せず脱力して書かれており、サラッと読んで各分野の雰囲気を掴みつつ、専門書に進むための準備運動にもなる。ただし記号論理学の全くの初学者が読んで理解できるものでもないと思う。ぶっちゃけこれ読むならより最近の『コンピュータは数学者になれるのか?』とかの方が面白そう。2021/11/12

あか

2
数学基礎論の手軽な入門編。集合論からきちんと解説をし、公理主義の要請、命題の形式化を経た上で証明論に入る。推論規則やシークエントについて丁寧にきっちりと説明がなされ、また練習問題も用意されていて、紙とペンを片手にあれこれ解いていくのがとても楽しい。対偶や排中律など、一見「当たり前」と思える推論さえより分解した数個の推論規則から導けるというのはまさに数学! という感じ。ファジー理論についても短くはあるが実際的な部分まで解説をしていて理解が深まる。排中律を肯定しない直感理論との関係など、興味を引く。2017/05/13

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