内容説明
淡水域は地球の表面積の1%にも満たないが、そこに地球上の全脊椎動物種の35%が生息している。しかし、今、淡水魚の3分の1が絶滅の危機に瀕している。水は人間の経済活動にはなくてはならないものであるが、偏在し、多すぎても少なすぎても災害をもたらす。そのため、淡水環境は人間の経済活動のために過度に改変されてきた。今、その開発がアジアを襲っている。アジアは淡水魚の多様性のホットスポットである。しかし、学術的には調査が不十分で情報が極めて不足している地域でもある。本書は、淡水魚の研究者である著者が、その(淡水魚種の)持続性を切に願いながら、広くアジアモンスーン各地の淡水魚の分布調査を通して探求した、淡水魚の生態とそれを取り巻く人々、そして自然環境の喫緊の記録である。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
翠埜もぐら
14
淡水魚の解説書と言うよりはフィールドワークの報告書と言った感が強い、東南アジアから東アジアにかけての純淡水魚の話。海と川を行き来する魚は通し回遊魚と言って、厳密な純淡水魚とは違うそうです。気候・地形・人間との関わりなどを考察しつつ、純淡水魚界における「多様性」とは何か、多様性を維持しなくてはならない理由など、現役研究者の淡水魚にかける熱い思いが伝わってきます。屋久島は川が急峻すぎるのと高い滝が多すぎるので、滝の上には魚がいないって。川があれば魚はいるものだと思い込んでいました。やっぱりプロの話は面白いわ。2022/04/27
takao
2
ふむ2024/03/13
くろじら
0
東アジアから東南アジアのさまざまな場所を巡って研究してきた著者の見てきたこと、研究してきたことが紹介されている。思ったより淡白な内容だったかな。しかし、さまざまなプロジェクト研究に関わって多くの場所を巡りながら、きっちり成果をまとめてきた著者の有能さは大変なものである。2018/06/11