内容説明
サンフランシスコのIT企業に就職した女性プログラマのロイス。激務で消耗した彼女の心身を救ったのは、近所の宅配レストランのパンとスープだった。親しくなった店主がアメリカを去ることになり、ロイスは秘伝のパン種を贈られる。それを使い自分でもパンを焼きはじめたとたん、彼女に思わぬ人や場所との出会いが訪れる……。千年以上もパン種を受け継ぐ奇妙な一族の物語、最新鋭ロボットアームを駆使したパン作り、謎の地下ファーマーズ・マーケット……パンが世界を変えていく!? とびきりヘンテコ、とびきり美味しい。新感覚フード・エンタテインメント!/解説=池澤春菜
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
125
私もロイスという名前に生まれたかった。ロイスクラブみたいなものは本当にあるのかしら。こんな出会いがあるならどこに行っても寂しくないな。<ここから少しネタバレかも>本筋の方のパンのお話。とにかく、彼女がパンをやき始めるところまでは良かった。いい匂いも、サワークリームやバターを塗られたパンの様子や香しさも感じられ...だったのだが、それにロボットが絡んだり、出店云々になると、楽しさが消えてしまった。半分近くまでは間違いなく夢中で読んでいたのに。しかし、ロイスクラブは最後まで良かった。2019/05/23
ゆのん
82
所謂ブラック企業で心身共に疲弊しきっている主人公。そんな時に出会ったのがスパイシースープとサワードゥというパン。そのパン種を自分で育てパンを焼く事から生活が一変してゆく。自然界の酵母とテクノロジーの組み合わせは思いの他読み易かった。自然界と共存出来ているうちは良いが牙を剥いた時は人間の力ではどうにもならない。そのキッカケを人間が作ったとあっては尚更のこと。明るいタッチで前向きな主人公には好感を持てる。自分の道は自分で切り開いて行くしかない。2362019/08/15
ダミアン4号
63
タイトルからすっかりファンタジー小説と思っていたのですけど…予想とは少し違う物語でした(笑)植物に音楽(クラシック)を聞かせると生育が良くなるというニュースを読んだ覚えがありますが…菌類にも同じ事が言えるでしょうかね(笑)えっと実は…中学生の頃、パン屋さんでアルバイト(学校には内緒)をした事があります。やってみなきゃわからない事っていっぱいあるもんで…食パンが“どうやって長方形”になるのか?を知ったのは、このアルバイトのお陰です。パン生地をロボットアームが捏ねている様子はこの時の経験を思い出しながら(笑)2019/09/24
あさうみ
44
ぶっ飛んでますな(笑)パン種が(笑)歌い出すパン種に奇妙な愛着がわき、社畜のロイスの人生が明るく変わり、なるほどハートフルストーリね!と思いきや爆発した(笑)「読んでるとパンが食べたくなる陽気な本ベスト3」確実。2019/04/11
たまきら
32
食べ物については、周囲からは変人扱いされるほど挑戦精神のある自分。全くベイキングへの才能は有りませんがサンフランシスコをはじめ西海岸に点在する食べ物革命への興味はつきません。ですからもうこの実在する人々と謎めいたシンジケートが暗躍する幾層ものフローラを味わいながら進むこの本の読後感と言ったら…!ああ、続きが読みたい!でも、腹八分目だからいいのかもなあ。すっごく面白かったです。読み友さんご紹介ありがとうございます!2019/10/30