内容説明
「先祖代代、片倉の女は殺される定めだとか。しかも斬り殺されるんだという話でした」 昭和29年3月、駒沢野球場周辺で発生した連続通り魔・「昭和の辻斬り事件」。七人目の被害者・片倉ハル子は自らの死を予見するような発言をしていた。ハル子の友人・呉美由紀から相談を受けた「稀譚月報」記者・中禅寺敦子は、怪異と見える事件に不審を覚え解明に乗り出す。百鬼夜行シリーズ最新作。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
418
京極 夏彦は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。『天狗』に続いて、第一弾の『鬼』、3社横断3カ月連続刊行シリーズコンプリートです。人間の心の中に、鬼が棲んでいるということなんでしょうね。本作に土方歳三が登場するとは思いませんでした。『ヒトごろし』の影響でしょうか? 2019/09/21
さくりや
300
京極夏彦の恐ろしいところはこれが“短編”ということだ。百鬼夜行シリーズは男性陣の活躍が目立つが、敦子と美由紀のコンビ、良いじゃん!『ヒトごろし』を読まなければならないねこれは。えっとそして、『鵺の碑』の舞台は栃木ってことで良いんだよね?中禅寺・榎木津サイドの物語も待って良いんだよね?いや河童と天狗も買うけど。2019/04/19
ポルコ
257
スピンオフ作品といえども、久々に百鬼夜行シリーズを読める喜びを胸に噛み締める。美由紀の勇ましさに大拍手の痛快作。2019/05/01
Richard Thornburg
220
感想:★★★★★ 百鬼夜行シリーズのスピンオフで、今回の主人公は中善寺敦子+『絡新婦の理』の呉美由紀。 タイトルの『鬼』が、まさかそこへ繋がるかよとツッコミを入れたくなるくらい、記憶に新しい作品の『ヒトごろし』に密接に繋がっています。 今回の中心となっている連続辻斬り事件に絡む人物たちの狂気。 犯人の犯行理由も正気ではないのですが、それを庇い立てする人物たちの持つ複数の狂気。 他人に危害を与えない狂気そのものを抱くことは犯罪ではないのかもしれない・・・ 2019/06/04
てっちゃん
210
このシリーズ、久し振りに読んだけど、やっぱり面白い。ただ事件の真相が京極作品にしては随分普通なミステリーになっていて逆にびっくりした。絡新婦に出ていた美由紀ちゃんの最後の啖呵が爽快。それにしても本が薄いなぁ。2019/05/15