文春e-book<br> 人類最年長

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文春e-book
人類最年長

  • 著者名:島田雅彦【著】
  • 価格 ¥1,629(本体¥1,481)
  • 文藝春秋(2019/04発売)
  • ポイント 14pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784163910062

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内容説明

江戸が東京になって、日露戦争、関東大震災、東京大空襲、そして平成の終わりまで、たったひとりで生き抜いた男がいた。
男は1861年3月13日、横浜で生まれた。
とても成長の遅い子どもで、3歳になるまでまともに歩けず、ゆっくりと時間をかけて成長してからは、人並みに結婚もした。
何度も死に損なったけれど、それなりに人生を楽しんで、あらゆるものを見てきた。
五千円札の女と懇意になったり、朝鮮人狩りから少女を救ったり、ヤミ市の少年たちに自活の道を施したり、不死化細胞の研究に協力させられたり、数奇な運命とともに生きた。
この男、159年にも及ぶ人生最後の望みとは?
30歳の女性看護師に何を託すのか。
さあ、夢見るようなタイムスリップが始まる!
文壇の鬼才が世に問う、圧倒的なイマジネーションと構築力による衝撃の書。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

starbro

173
島田雅彦は、デビュー以来30年以上に渡って読んでいる作家です。本書は、近代現代歴史超長寿ファンタジジーでした。いずれにしても一人だけ超長寿なのは辛いと思われます。神武天皇超え(127歳)は、現れるのでしょうか?2019/04/22

ケンイチミズバ

129
潔い死に方ってなんだろう。役割を終えたら死んで尚かつその体まで自然の役に立てようとする生物もいる。先に逝くのも寂しい、独り残されるのも寂しい。戦争も震災も自分が痛い目に遭ったわけじゃないから、みんな忘れてしまう。その結果、人は同じ過ちを繰り返す。それが過ちだという自覚もないままに。安政から生きている彼は歴史を後世に語り継ぐ高い意識があったものの、長生きし過ぎてというか死ねなくてどうでもよくなる。大切な人たちが皆自分を置いて逝ってしまう。関東大震災で虐殺される寸前の朝鮮人の子供を助けたくだりが心に刺さった。2019/05/07

佐島楓

67
人というよりも、歴史をお書きになりたかったのだろうなという印象を受けた。その歴史も、駆け足すぎてちょっと物足りない。この題材ならもっと大河的な作品を書けたはず。円環としての歴史という意味なら理解できたし、面白くなかったわけではないのだが、ハードルを上げたくなってしまうファン心理。2019/04/25

アキ

48
「人生とは記憶の蓄積のことに他ならない。記憶が失われてゆけば、人生も儚く消える」人類最年長159歳の語る明治から平成の記憶。歴史好きにはたまらなく面白い。その時代に生きた人の記憶は、歴史書では得られない生々しさで当時の日本の空気感、世相、暮らしを知れる鏡の様。関東大震災での経験が面白い。東京は何度壊滅してもしぶとく再生する。また東京オリンピックで過去と切断されたことを強く感じる。でもどれだけ長寿になっても、記憶って幼い頃のものが一番美しく鮮明ですよね。2019/04/28

maxa

40
苦手な割に歴史の授業脱線のようで面白かった。歴史部分は全く頭に入ってこなかったけれど(笑)。1861年江戸時代に生まれ、現在159歳の男性が辿ってきた歴史と生活についての話。子供の頃の大名行列、江戸から東京(トーケイ)に呼び名が変わったこと、文明開花の牛鍋屋、初めて鉄道が開通した話、戦争、関東大震災、時代を反映する仕事、何をしたら儲かったかなど…。年齢に合う戸籍を手に入れ歴代女たちに惚れ込んだ話を交えながら語られていく。でも長生きすればするほど人の死も経験するのが辛いね。一人の男の目を通した生きた歴史書。2023/08/04

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