内容説明
家を出て行った恋人へのあてつけに、睡眠薬を大量に飲んだ篠原多聞。死ぬつもりはなかったのに、目を覚ますとそこは……死神の村。しかし多聞がここに来たこと自体が手違いだと言われ、現世に戻るための旅がはじまった。<文庫書下ろし>
目次
第一章 多聞、蘇利古村に行く
第二章 寝台特急ひとだま(のぼり)
第三章 ジョカ捜し
第四章 寝台特急ひとだま(くだり)
第五章 多聞と一宇
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
シナモン
166
幻想シリーズ第7弾。恋人に出ていかれ自殺を図った主人公多聞は気がつくと死神の村にいた。しかし、多聞は死んではいなかった。現世に戻るべくあの世とこの世を結ぶ「寝台特急ひとだま」に乗り込むが…。死神の村に自販機があったり、担当死神がマンツーマンでサポートとか、妖しい物語なのに妙に俗っぽい世界観は相変わらずだった。でもこれが好きなんだな。お馴染みのアズサちゃんや青木さんの登場も嬉しかった。というか、もっと絡んでほしいくらい。柳田國男や井上円了の登場にはびっくりでした。2020/07/18
ばう
77
★★★ 去っていった恋人を呼び戻す為に狂言自殺を企てた多聞。本当に死ぬつもりは無かったのに気がつくと死神の村に。しかも死神達の話によれば彼は本当は死ぬ筈では無かったと言う。どうしてそんな事になってしまったのか真相を明らかにする為に多聞は寝台特急ひとだまに乗り現世へ戻り歴代随一の凄腕死神、ジョカを探すが…。事実を捻じ曲げてしまった犯人、多聞と兄の関係など様々なエピソードは一気にクライマックスへ。登天郵便局の青木さん、探し物が特技のあずささんも登場していたので嬉しかったです。2021/01/18
dr2006
66
主人公の多門は失恋を悔やみODで自殺未遂に…。で(死んでないのに)気が付いたら何故か霊体になった死者が行きつくはずの「蘇利古村」に辿り着いていた。現世とあの世の狭間にメタモルフォーゼ?その蘇利古村は死神たちが人の姿をして暮らしており、勿論現世から死者を連れてくる死神としての生業も施している。これは想像力を総動員して読まないきゃと身構えるも、シリーズでお馴染みの人物や場所も登場して、幻想シリーズの世界観を楽しむことができた⤴文庫書き下ろしのこのシリーズ、そろそろアニメ化されないかなぁ?ぜひ映像で観てみたい。2023/03/07
yamatoshiuruhashi
54
「しんだいしゃよべ」と言う壁の落書き。これがどう繋がるのか、どうも伏線の回収というにはちと面白くないが、そこを気にしなければ荒唐無稽な不思議話に民俗、推理が絡む格好の楽な読み物だった。井上円了と柳田國男が同時に出てくるなんて素敵な着想。どうせならもう少し彼らに活躍してもらいたかったくらいだ。死神にも彼らの世界と村があり、バスや寝台車で担当した死者を村に連れて来てからあの世へ送り出す。現世的なビジネス感で描かれる死後の世界の入り口と現世の関連を読んでいると落語「地獄八景」をまた聴きたくなった。2021/08/04
ぽろん
50
幻想シリーズ。やっぱり、楽しかった。お馴染み郵便局の青木さんやアズサさんも登場で、シュールな展開ながら面白かったです。寝台車もハリーポッターの魔法列車の様で、行き先があの世でなければ、私も乗ってみたいかも⁈笑2019/05/22