内容説明
首都圏随一の規模を誇る「中央救急病院」に今日も瀕死の重傷患者が運び込まれた。地下鉄の事故に遭ったという妙齢の女性は、切断寸前の左脚が皮肉でわずかにつながる無惨な容体。駆けつけた父親の涙ながらの訴えを受け、救急部長を中心とするチームが高度な縫合手術に挑んだ――。救急救命の最前線で繰り広げられる熱き人間ドラマを描く感動作!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
CEJZ_
4
1P14行。石原慎太郎の小説は「太陽の季節」くらいしか読んだことがない。しかしいまだコンスタントに小説誌で名前を見かける。最初は堅苦しい文章に感じたが、全体としては漢字が多くてもスピーディーに読み終えた。救急医療の中でのダークな部分、生死の裁量というか、時間、責任、患者の背景、病状症状、妥協点などがからむ人間模様を見た。どうあれ、急病、事故、大ケガとなったら救急医療機関の医者に任せるしかないわけで、裁量は周りのものが決めるより仕方ないというか、患者自身にはどうにも……。解説はなく後書きがある。 2019/04/29
ひるあんどん
3
石原慎太郎の本は「太陽の季節」と「弟」、「老いてこそ人生」を読みました。言葉遣いにちょっと硬さというか古さを感じますが、救急病院で繰り広げられる命をめぐる戦い、暗部がスピーディーに描かれています。国家プロジェクトに参加するほどの頭脳に恵まれながら、その脳に巣食う病に勝てなかった彼が悲しい。2019/12/31
Crystal.B
2
自身が運び込まれた救急病院での体験談がベースとあとがきにありましたが、比較的軽症だったとはいえ、入院中にも生死を見つめる視点というのは作家魂?とでもいうべきものなのかなと思いました。一般人なら、「いつ、死なせますか」はたしかに厳しい会話だと思ったし、それで自分の子供を諦めようとする看護師の彼女に一番感情移入したかもしれません。自ら死を選んだ晴哉以外は、意識もほとんどない中で、他人に死期をを委ねることになり、複雑でした。すぐに読み終えられましたが、内容は重かったです。2020/10/31
くりこ
1
あれだけの物言いをされる方だし、独特の言い回し、ポリシーなどで有名な方なのでとても興味を持って手に取った。 結論としては救急患者の羅列にしかすぎず、心の動きであるとか人間同士の関わり合いとかそういう部分は皆無。 拍子抜けしたし、こんなもんじゃないでしょう、石原さん?のような気持ちで読了。2023/06/12
Daisuke Oyamada
1
冒頭に出てくる、結婚間近の幸せなカップル。 友人の結婚式で出会い付き合うことに。 お互いの愛を確かめ、男の親へ挨拶。 これから新しい家族になるものたちの団らんは、 絵に書いたような幸せに、 進んで行く予感しか感じない。 次は女の親へ挨拶することにする。 幸せへ進むはずだった女がそこで事故にあう。 ギャップが激しいためなのか、 読むのをやめようかと思うくらい、 事故の描写がひどかった。 舞台は「救急病院」で様々な患者さんの・・・ https://bit.ly/3ZKcyhJ2023/03/14