内容説明
宗教改革の時代、キリスト教がいかに他宗教や異文化を認識し、ときに宗教的マイノリティを排斥しつつも、融和を図っていったのかを考察する。第一部は「日本における寛容」、第二部は「ヨーロッパにおける寛容」。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夜間飛行
184
かつて悪魔の仕業とされた迫害が神の与えた試練と見なされるようになると、殉教は、迫害者を許す行為とも考えられた。第Ⅰ部・一章では、元和の大殉教をイエズス会報告集から紹介している。火刑の柱に接吻し、天を見上げて安らかに焚かれていく司祭たち。慟哭し、叫び、殉教者の遺物に殺到する群衆。そこにある感動と熱狂は果たして「寛容」と呼びうるものだろうか。確かに司祭たちの心に「寛容」はあったのかも知れない。しかし、それは神との間でのみ成立し、彼らが許した為政者や異教徒の心には届かなかったとしたら、それをも寛容というべきか?2024/12/15