内容説明
わたしが看護師だったころ──命の声に耳を傾けた20年。看護とは、切断された手足を運ぶこと、患者の声音から投薬のタイミングを察すること、死にゆく子どもの足型をとること……ロンドンの病院で20年間勤務し、現在は小説家として活躍する著者が、看護師としての経験とその仕事の本質を優しくも冷静な眼差しで綴る
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
いの
18
筆者は優秀な看護師です。看護師に必要なものはまず予測ができ行動に移せるかどうか最も大事なことは足を止めることができるかどうか。これは必然的に慈愛に通じること。能力は個人によって得て不得手がありお互いの能力を活用すること。アセスメント能力を最大限にして!この本には看護師の全てが記録されていました。他人の感情のただ中に自己を投入する能力を必要とする仕事、それが看護(看護覚え書きより)。涙にまとわれた疲労に襲われる。2019/12/01
くさてる
15
イギリスで看護師として20年働いた著者による回想記。日本とは違う医療制度や病院の様子に戸惑うところもあるけれど、丁寧な筆致で描かれた病棟の様子や患者との関り、著者自身の個人的な生活を夢中で読みました。病者と看護の関係は国が違えど共通することも多いのでは。小児病棟での経験と父親の死のあとの病棟での場面には泣いてしまいました。けれどけしてお涙頂戴な内容ではなく、ハードな現場で最善を尽くす人々と社会情勢の厳しさもしっかりと書く硬派な内容でもあります。おすすめ。2019/07/06
DEE
13
小児専門の看護師として20年勤務した著者。その時のリアルな様子が詳細に書かれている。小児ということで誕生の感動的な瞬間に立ち会うこともある一方、先天性の難病を抱えていたり、生まれることができなかったりする赤ん坊もいる。 そんな時、看護師たちは何を考えどのように行動したか。人間だから感情に流されることもあれば失敗もある。でも患者や家族にどれだけ親身に寄り添ってきたかを垣間見せられると胸が熱くなる。 どんな職業でも責任はつきまとうけど、命と直接向き合う医師や看護師という職業の厳しさと尊さを痛感した。2019/06/21
ケニオミ
12
「優しさは、耳の聞こえない人にも聞こえ、目の見えない人にも見える言語である。」(マーク・トゥェイン)著者の20年間の看護師経験が、この優しさの実践であったことがよく分かりました。各章の初めに、その章のテーマを表す言葉が添えられています。ガンディーの次の言葉は、本当にその通りだと思いました。「どんな社会であれ、その真の尺度は、最も弱い構成員をいかに救うかだ。」今回の参議院選挙では、この尺度で候補者を選びたいです。お薦めの一冊です。2019/07/10
モビエイト
6
イギリスの病院で20年に渡って看護師として働いた経験を綴った回想録。医師の書いた本は日本でもありますが、看護師さんの書いた本はあまり見た事がありません。 患者の近くにいる看護師が払う犠牲、その看護師のケアーの大切さ、慢性的な看護師不足、看護師の待遇の改善の必要性。 どれも日本の現状にも当てはまる事であり、看護師の重要性がよくわかる読後でした。2019/04/15
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