内容説明
雨の音が聞こえる。冷たい手が伸びる――。アパレル店員として働く朱里には、隠し続ける「あの日」の過去があった。「あの日」が近づき、同じ過去を共有する典子が婚約の報告に訪れた。しかしその一か月後、典子は何者かに殺害されてしまう! 典子を殺したのは誰か。「あの日」に何があったのか。複雑に絡み合う真実の末に潜むのは、衝撃のラスト――!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夢追人009
177
元漫画家の女流作家・水生大海(みずきひろみ)さんのシリアスな傑作ミステリー長編です。日本の名前は最近特に漢字を自由気ままに読ませる傾向を強く感じますが、著者も中々に印象的ですよね。本書の帯に「あなたは犯人を見破れるか」と堂々と書かれていましたが、結果私は駄目で完敗だったですね。思考の枠外にいる完全に盲点の意外な犯人像に呆然自失でしたよ。幼児期の悲惨な体験が影を落とす陰鬱なムードに全編が覆われていましたが、それでも沈鬱な中にも「何くそ負けないぞ!」というヒロインの確かな心意気が感じ取れたのがよかったですね。2019/12/30
machi☺︎︎゛
144
主人公の朱理はある事件の被害者である事を封印しながら生きてきた。それ故の描写なのかもしれないが朱理のひねくれたような性格にずっとイライラしながら読んだ。警察の捜査の仕方とか態度や犯人の動機には多少の無理矢理感はあったものの最後のどんでん返しは面白かった。朱理にはこれを機に心を入れ替えて細川店長と上手くやりながら頑張って生きて欲しい。可哀想な典子の分まで。2020/04/22
mr.lupin
54
水生大海さん、初読み。アパレル店員の朱里には、隠し続ける「あの日」の過去があった。「あの日」が近づき同じ過去を共有する典子が婚約の報告に訪れた。しかしその1ヶ月後、典子は何者かに殺害されてしまう。典子を殺したのは誰か? 「あの日」に何があったのか? サスペンスとして、中々と読み応えのある一冊だった。正直、誰もかれも疑わしかったが、犯人も意外な人物だった。水生さんの他の作品も読んでみたい。 ☆☆☆★★2021/03/09
茉莉花
48
最後まで、結末がわからないような話で、どんどん読み進められます! この人が犯人なのでは?と言う人が違ったりして面白いです✨2020/07/17
ぷう蔵
44
これはなかなかの不快感、こんな風に書けるのは作者の力なんでしょう。不快故に早く真相が知りたくて、早くこの不快感から逃れたくて、一気に読み進めてしまった。しかもこの人だったかぁ…、という結末。いろんな可能性が頭の中に駆け巡って、結局全く予想外の展開に。まあそれってちょっとずるいんじゃないの〜っていう件もありましたけどね。久々に騙されました。ちょっと完敗…。2020/03/13