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内容説明
花のお江戸では不動産ビジネスが花ざかり。武士も、町人も、農家も、こぞって土地取引に精をだしていた──!
江戸を世界一の大都市に押し上げた原動力は、活発な不動産取引だった。大名や旗本は郊外の土地を買い漁り、中心部の土地は等価交換で入手。農民も土地取引に参入し、多額の礼金に悩まされつつ、貸家経営などにいそしんだ。知られざる江戸時代の不動産ビジネスの実態を浮き彫りにする。
【第一章 巨大都市・江戸の土地事情】
家康の江戸入りから、職人町の神田、商人町の日本橋誕生の経緯、そして町が大きく変わる契機となった明暦の大火と、その後の防災計画を紹介。
【第二章 武士の不動産商法】
大名や幕臣は等価交換というテクニックを駆使して、幕府から拝領した土地を活発に売買していた。また大名や旗本は郊外の農地を買いあさり、微禄の武士は貸家経営で生計を立てていた。
【第三章 町人・農民の不動産ビジネス】
関東などで財産を築いた豪商や豪農は、ビジネス拡大と多角化のため江戸へ進出していた。江戸の一等地は商売の拠点となるだけではなく、信用を得るためにも必須だった。
【第四章 幕府の土地を私有地にする裏技】
幕府の御用を勤めていた中野の豪農は、四ツ谷にある幕府の土地に目をつけて、自分のものにしようと目論む。近隣対策や幕府への裏工作の実態に迫る。
【第五章 東京の誕生】
江戸の7割は武家が利用していたため、明治維新により広大な土地が没収され、軍用地や公共施設、学校などに転用された。いまの東京の骨格はこのとき出来上がった。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きみたけ
58
これまでにない視点で結構面白かったです。江戸時代の不動産ビジネスの実態を浮き彫りにした一冊。著者は、江戸をテーマとする執筆・講演活動を展開している歴史家の安藤優一郎氏。江戸の土地の事情から、武士の不動産商法、町人・農民の不動産ビジネス、幕府の土地を私有地にする裏技、明治維新における武家屋敷の没収などをまとめています。江戸時代の不動産取引が意外にも活発であったことに驚きでした。あと、慶應義塾の三田キャンパス誕生の馴れ初め(福沢諭吉のしたたかさ)や三菱の丸の内ビジネス街の取り組みが興味深いところです。2023/05/31
wiki
16
職業柄、不動産と名前のつく本は書店で見かけ次第購入するようにしている。その中でタイトルも適当に選んだが、仕事に多少なりとも活かせそうなのは最終章くらい。後は教養と思って読んだ。著者いわく、「武士、町人、農民が入り乱れて活発な不動産取引が行われ」「その流れの中で生み出されたエネルギーが江戸の街を拡大させ、発展させてきた。内需中心の閉じられた世界であったにもかかわらず、江戸が世界最大の都市として繁栄した秘密は、ダイナミックな不動産ビジネスにこそ求められる」と。だから現代においても不動産中心の経済なのだろうか。2019/06/12
パトラッシュ
14
「上に政策あれば下に対策あり」とは万国共通の名言。江戸という大都市で生きるには幕府の規則や命令に唯々諾々と従うだけではやっていけず、身分を問わず不動産取引に熱中していた歴史的事実を次々と明らかにしていく。厳しい封建制度の政治が行われていたという旧来の江戸期理解を完全に打ち砕き、大名から百姓まで人びとが逞しくしたたかに生きていた実相が手に取るようだ。福沢諭吉が大名屋敷跡に慶大三田キャンパスを建てたのは知っていたが、裏では不動産ブローカー並みの暗躍をしていたとは。まさしく1万円札にふさわしい人物だったわけか。2020/02/14
ごへいもち
9
明治になってからの火事場泥棒みたいな所業、お札の諭吉の顔など見たくもない😠2025/08/11
bapaksejahtera
7
江戸東京という、歴史は新しいが政治的性格から社会的物理的に凄まじい変動に見舞われた都市を対象に、土地という強力な資産の変遷を今日から振返り俯瞰するという作業は貴重であり良い所に目をつけた。本書が利用した文献はさほど目新しいものではなく、依って内容自体は目覚ましいものではない。しかし安定し始めた江戸の中で市井の実態を知らぬ幕閣と海千山千の町人達の間で十分な下僚もなく奮闘する町奉行所。薩長に蹂躙され混迷の明治の濁水の中で成長した資本などの記述は印象的だ。後にこの資本が山を削り谷を埋め○○ヒルズを築くのだから。2020/06/30
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