書物の破壊の世界史 - シュメールの粘土板からデジタル時代まで

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書物の破壊の世界史 - シュメールの粘土板からデジタル時代まで

  • ISBN:9784314011662

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内容説明

「もはやわれわれの記憶は存在しない。
文字や法律の揺りかご、文明発祥の地は焼失した。
残っているのは灰だけだ」
(2003年、バグダード大学教員のことば)

「55世紀もの昔から書物は破壊されつづけているが、その原因のほとんどは知られていない。本や図書館に関する専門書は数あれど、それらの破壊の歴史を綴った書物は存在しない。何とも不可解な欠如ではないか?」

シュメールの昔から、アレクサンドリア図書館の栄枯盛衰、ナチスによる“ビブリオコースト、イラク戦争下の略奪行為、電子テロまで。
どの時代にも例外なく書物は破壊され、人類は貴重な遺産、継承されるべき叡智を失ってきた。
ことは戦争や迫害、検閲だけでなく、数多の天災・人災、書写材の劣化、害虫による被害、人間の無関心さにおよぶ。
幼少期に地元図書館を洪水によって失った著者が、やがて膨大量の文献や実地調査により、世界各地の書物の破壊の歴史をたどった一冊。
17か国で翻訳。

「感銘を受けた。同テーマを扱ったなかで最高の書」ノーム・チョムスキー
「この本は必読。震撼させられる」ウンベルト・エーコ

目次

【第1部 旧世界】
第1章 古代オリエント
第2章 古代エジプト
第3章 古代ギリシャ
第4章 アレクサンドリア図書館の栄枯盛衰
第5章 古代ギリシャ時代に破壊されたその他の図書館
第6章 古代イスラエル
第7章 中国
第8章 古代ローマ
第9章 キリスト教の過激な黎明期
第10章 書物の脆さと忘却

【第2部 東ローマ帝国の時代から19世紀まで】
第1章 コンスタンティノープルで失われた書物
第2章 修道士と蛮族
第3章 アラブ世界
第4章 中世の誤った熱狂
第5章 中世スペインのイスラム王朝とレコンキスタ
第6章 メキシコで焼かれた写本
第7章 ルネサンス最盛期
第8章 異端審問
第9章 占星術師たちの処罰
第10章 英国における焚書
第11章 厄災の最中で
第12章 革命と苦悩
第13章 過剰な潔癖さの果てに
第14章 書物の破壊に関する若干の文献
第15章 フィクションにおける書物の破壊

【第3部 20世紀と21世紀初頭】
第1章 スペイン内戦時の書物の破壊
第2章 ナチスのビブリオコースト
第3章 第二次世界大戦中に空爆された図書館
第4章 現代文学の検閲と自主検閲
第5章 大災害の世紀
第6章 恐怖の政権
第7章 民族間の憎悪
第8章 性、イデオロギー、宗教
第9章 書物の破壊者
第10章 イラクで破壊された書物たち
第11章 デジタル時代の書物の破壊

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

BLACK無糖好き

26
書物の破壊の原因の60%は、故意の破壊による。書物を破壊する者たちは、世の中の人間を"彼ら"と"私たち"に区別し、敵側の書物は破壊される。残りの原因の40%は、自然災害や事故などによるという。古代から現代に至るまでの各事例を、よくこれだけ細かく調べたなという印象。中でも米国史上最も多くの書物を破壊したアンソニー・コムストックの名は覚えておきたい。◇昨今の台風にて各地の図書館も浸水の被害にあったが、真摯に復旧に取り組んでいる人たちに頭が下がると共に、人間による書物の復元力にも目を向けたい。2019/10/28

三柴ゆよし

23
古今の歴史上、創造と破壊がまさしく表裏一体であったことを膨大な資料に基づいて論証した大著。皮肉なことに「書物の破壊」というテーマを扱った本書には、たとえば創作を志す人になにがしかのインスピレーションをもたらすにちがいない挿話が無数におさめられており、ネタ本としての有益性も高い。たとえばこんなのはどうだろう。「(古代エジプトの王子)ネフェルカプタパはビールに浸けたパピルス文書(『トートの書』)を飲み干すと、たちまちこの世のすべての知識を得た。神しか知り得ない、ありとあらゆる叡智を身につけたのだ(71頁)」。2019/03/14

Shin

19
子供の頃から「本」という存在(形而上学的な意味での)に魅せられ続けているのだが、その理由がこの本を読んで少し分かった気がする。知識や知恵を時代を超えて受け継ぐ器たる書物は、媒体としての脆さを併せ持つことで愛書家たちの情愛を享受しているのかも知れない。災害、戦争、宗教的・思想的不寛容。意図的にせよ、偶発的にせよ、人間は書物を生み出し続けると同時に破壊を続ける運命にある。意味のないことと知りつつ、これまでに失われた全ての書物が失われずにいたらと空想する。それは人類にとって良いことだったろうか、その逆だろうか。2019/04/07

塩崎ツトム

17
自然災害・戦争と侵略・思想弾圧……。本が損なわれることは多々あるが、本が消えることに愉悦を覚える人間が一定数存在しているのではなかろうか?そして日中戦争の最中での、日本軍による中国の大学図書館の破壊の歴史にも触れる。そしてテレビをつければイスラエル軍がガザの大学を書物ごと更地にして、さらには本に火を放つ様子を嬉々としてインスタに挙げていて、それとは別に日本では、KADOKAWAへのサイバー攻撃でここ十五年近くのサブカルチャーの記録が滅却される危機に立たされているよ。2024/06/13

mft

10
「破壊」という語からは人為的な意図的な破壊だけを想像したのだが、自然災害や所有者の死後の散逸まで取り上げており、特に古代の話はそういうものも多くて違和感が拭えなかった。多分原語の "destrucción" の方が日本語の「破壊」より意味の広い語だったということなのだろうが。ともかく、600ページを超える分量の書物喪失の歴史は圧倒的である2021/01/20

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