内容説明
明治末期にキリスト教布教のために来日したアメリカ人建築家、メレル・ヴォーリズ。彼は日本人として生きることを選び、 終戦後、昭和天皇を守るために戦った――。彼を突き動かした「日本」への思いとは。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mariya926
113
とても興味深く読みました。クリスチャンであり建築家であり、メンソレータムを販売していたメレルの物語です。しかも戦後、天皇と面会していたなんて!!しかも天皇も聖書を読んでいたなんて(噂では聞いたことがありましたが)!ある意味、生涯を日本に捧げていましたが、なかなか人間味のある人物です。この作家さんの本は今まで外れがなく、全部読んでみたいですが、いかせんクリスチャンではないので信仰の部分は微妙だったので、クリスチャンが書いたメレルも読んでみたいと思いました(例えば三浦綾子さんとか。もう叶わない夢ですが)。2024/05/25
mura_ユル活動
112
メレル・ヴォーリズ。建築家・実業家。明治時代に来日。初めは宗教伝道師として、建築家として名を馳せる。満喜子との出会い、メンソレータムの成功と建築設計事務所の成功。戦争に向かう国内の情勢が生活に及ぼすところ理解できた。結婚のため日本に帰化。ベビーさんのと別れ、アメリカの味方と思われるため、メレルが会社から出される。そして戦争へ。疎開先の軽井沢で妻満喜子は英語を教える。終戦。近江八幡と近江兄弟社とヴォーリズがやっと繋がった。10年以上前、かわらミュージアムとか行ったなあ。もう一度訪れたくなった2020/03/28
夜長月🌙新潮部
72
山の上ホテル、関西学院大学などの設計で知られるウィリアム・メレル・ヴォーリズの伝記です。メレルは建築家としてだけではなく、キリスト教の伝道師でもあり、メンソレータムを日本に広めた実業家でもあります。多面的なメレル氏を紹介すると共に、日本とのつながりについても深く描かれています。明治に来日し、それからあの十五年戦争中も日本人に帰化して、戦後にその特殊な立場から日本の歴史に大きな影響を及ぼしました。彼の建築物については「ヴォーリズ建築の100年」の写真を見ながら併読することでより楽しめました。2022/08/15
コットン
69
夜長月さんのおすすめ本。いろんな側面を持つヴォーリズを生き生きと描いているのがいい。2022/09/14
大阪魂
62
面白かったー!さすが建築コメンテーター?&歴史作家な門井さんやねー!心斎橋大丸とか同志社、関学の建物の設計とメンソレータムの近江兄弟社で有名なヴォーリズが主人公!近江八幡にキリスト教の伝道師としてきはって、それから英語の先生、建築家、そしてメンソレの商売まで!建築設計なんか素人やのに実用発想であちこちで引っ張りだこならはったんやもんねー!大同生命の広岡浅子とも親戚づきあいなったり、ほんま関西近代の勉強にもなった!タネヤ、クラブハリエの歴史もわかったしねー!ラストはびっくり!こんな一幕よお書かはったなあ!2022/12/31