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内容説明
工作機械は「機械を作る機械」であるため、「マザーマシン」と呼ばれる。私たちが日常で使うスマホといったものだけでなく、航空機など、あらゆる人工物を作るのに欠かせない。そのため、日本やドイツのように、強いものづくりの背後には必ずといってよいほど強い工作機械産業が存在する。そしてこの四半世紀、日本の工作機械産業は世界最強であり続けた。表舞台にはめったに登場しない「世界最強の裏方産業」50年の革新史を描く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おせきはん
14
CNC工作機械を支えるCNC装置を製造するファナックと、CNC装置に使うMPUを生産するインテルの創造と革新のプロセスを紹介しています。CNC装置を工作機械メーカーが自前で製造できなかったため、分業体制が確立されて最新技術の活用と企業間の連携が進み、日本の工作機械業界が成長したのは幸運だったかもしれません。それでも、個別の技術の進歩のスピードと複雑さが増す中で、それぞれを有機的に組み合わせる企業間の連携、部品同士の柔軟な組み合わせを実現する部品のモジュール化など、成長に向けたヒントを得ることができました。2019/06/06
シノケン
10
工作機の歴史を経営面から紐解いた一冊。 時代の背景、顧客の特性も相まってファナックやインテルは共に英断とともに時代を作り上げてきたとある。顧客からの要望を聞き続け製品に反映するだけの改善だと特注品ばかりになりコスト面で圧迫される→顧客の要望を製品をモジュール化して組み合わせによる対応というのはすごいと素直に感じた。 どの企業も収益の柱事業を持っており、破壊的イノベーションに対する危機はあると思うがそれらを切り抜けるヒントになる内容だった。また、新規事業や特定分野を別の会社や組織にする意味を理解した。2020/12/26
kenitirokikuti
6
図書館にて。x86系CPUでの低水準プログラミングを少々学習したので、以前読んだときよりも細部や背景を読み取れた。現在ではパソコンの価値がすんごく高くなったので失念しがちだが、やっぱ動画のHD化とスマフォの全世界的普及までは、世の中における「パソコン」の存在は大きくなかったのだなぁ。初期のインテル4004が搭載されたのは電子式レジであった。タイプライターみたいな機械式レジスターは重くて身体的負担が大きかったから、という話、自分の育ちだと死角だぁ。2022/09/25
富士さん
6
工作機械に対するNCの浸透は、それまでの熟練をふまえてより高度に使いこなす人と、適応できずに技能を陳腐化させてしまう人を生んだと聞いてきました。旋盤などの伝統的な機器に、まったく新しい機器を取り付けることによって、既存の熟練技能を評価する軸足が、「何ができるか」以上に「どう使うか」に移ってしまうということなのかと感じました。個人的に興味があるアニメ業界でも、まったく同じことがあったようです。本書を含めた工作機械の革新史は、一業界を超えて、とても普遍性のある何かを示唆しているのでははないかと思います。2022/01/14
Yuji Hamano
5
いやー自分の知識不足を恥ずかしく思いました。ファナックがインテルにこれほどまでに近い会社とは知らなかった。それに油圧パルスモーターから工作機械を経て今のロボットにつながっている歴史を、どうも逆に感じているところがあって、目から鱗だった。2019/05/14