内容説明
日本人の美と感受性をはぐくみ、花開かせた「百人一首」。歌に詠まれた舞台――桜花咲きほこる吉野山、朝靄に包まれた天の橋立、菜の花咲く天の香具山、千鳥鳴く淡路島、白雪いただく富士の山、悲話をひめた隠岐などなど、我々の血となり肉となった古典、我々の心の郷里を旅しよう! 古典の旅シリーズ『百人一首』改題作品。美と感性の精華である百人一首の舞台を旅する名随筆。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ダイキ
3
「多くの日本人は、無意識のうちに〈百人一首〉を肉体化した。〈語釈〉で歌の分析をするのではなく、〈調べ〉でそらんじながら歌のいのちをつかんだ。よくない言葉づかいに反応する感受性が、遊びの愉しみのうちに育てられたのは大きなことである。」2019/05/24
あゆぷ
2
歌が詠まれた当時は人気の観光スポットだったであろう、でも今は少々マイナー(京都以外)な観光地となった歌枕の数々を筆者が訪れる、好きな人にはたまらない旅行ガイドとしても読めるし、有名すぎる百人一首の、そのあまり有名ではない制作背景や人間関係といった知識も得られるし、もちろん、百人一首に止まらない様々な和歌を味わうことができる、贅沢な一冊。 個人的には、これまで何となく手に取り難かった筆者の、案外親しみやすい素の部分に触れられたことが最大の魅力でした。マンボウを初めて見た、なんてちょっとした感想がとてもいい。2025/02/18




