内容説明
妊娠すれば元気な赤ちゃんが生まれるはず――そう思っている人は少なくない。でも実際は悲しみの中で出産に挑む妊婦もいる。「赤ちゃんの心臓が止まっています」「赤ちゃんに病気があります」そんな宣告をされて出産を迎える妊婦たち。幸せオーラに満ちた産婦人科で、一人地獄に迷い込んだ苦しみを抱える。深い暗闇の中に沈む親たちの背中を押す温かいお見送りやグリーフケアや、NICUのいまをルポする。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
なゆ
85
私の周りでも、ほとんどが無事に元気な赤ちゃんを産んでいる。でも、知らないところで悲しい出産も、ある。50人に1人って意外に多いと思った。嬉しくてたまらないはずの日が…と思うと、どれだけの絶望に押しつぶされるだろう。“死産”にも“新生児死亡”にも、ひとくくりにはできないそれぞれの悲しみがあって、それまでの経緯がある、ということがよくわかる。たとえ死産でも祝福してほしい、という人もいれば、そうでない人もいる。どうしてほしいかを酌み取るのが大事。“天使のブティック”の活動が素晴らしい。同封のメッセージカードも。2018/06/19
瑪瑙(サードニックス)
71
私の身近にも生まれたばかりの赤ちゃんを直ぐに亡くしてしまった方がいます。この本にも書かれてありますが当時原因は不明と言われたとの事でした。無事に生まれてくる事は本当に奇跡です。息子も先天性心疾患で生まれてきました。入院していた病院で他のお母さんが「どうして!」と泣き崩れる姿も見ました。入院していた赤ちゃんたちが何人も亡くなっていきました。以前、死産や流産でとても小さな赤ちゃんに着せるベビー服を縫ってプレゼントするボランティア活動の事を知り、感動した覚えがあります。そこまで私は思い至る事が出来ませんでした。2019/04/09
Lara
67
ほぼ涙ぐみ、泣いていました。妊娠=出産という流れが当たり前で普通と思っていました。死産は50人に1人とはかなり高いと思いました。精神的に、肉体的にとても辛い体験であろうことは、想像に難くありません。著者の「命が誕生することは奇跡の連続だ」という言葉が響き、余韻を残します。2019/12/17
あっか
62
読書中ずっと泣いてました。ただ、悲しい内容ばかりなんだけどどちらかと言うとわが子に向き合っていくご両親の姿勢や思いが眩しく切なく共感もし…色々思い出したり考えたりしました。「赤ちゃんが絶対に元気に生まれるというのは『神話』」。もうこれに尽きる。死産の後、どういう状態に陥りやすいのか?何を考えどう行動すれば後悔が少なくなるか?を自分も考えることができました。傷付く言葉、支える言葉の具体例も載っています。自分や近しい人も、いつでも同じ状況になる。いつ読むべきか悩むけれど、様々な人に読んでほしい一冊!新刊。2018/07/16
たまきら
30
母親学級で仲良くなり、最初に出産を迎えた方が死産だった。本当に辛かっただろうに、計画出産だったのを知っていたため「おめでとう!昨日だよね!?」とメールしてしまった自分に冷静に状況を伝え、「あなたは大丈夫!」と臨月の私を励ましてくれた。同じ世界に身を置かないとわからないことがあるとおもう。でも、娘といると彼女と家族のことをよく思い出す。「天使のママ」という言葉で安らげるご家族がいる。自分たちの幸せを、世の不公平さを思う。でも、知ることができてよかった。2018/03/23